雨も、そう悪くない。

雨音が聴こえる。
二人の会話の間、読んでいる私の中では確かにその音が聴こえた。

傘は、雨から濡れないように自分を守るもの。境界。でも誰かを招き入れることもできる。東屋が、傘のように二人を雨からまもり、二人と外に境界をひく。

二人は深くは語らない。
だからこそ、二人の深みを読者に伝える。
余白を読んでしまう。

情景描写が五感を揺さぶり、美しい構成が読む手を震わせ、しっかりとした着地が沁み込む。

心の雨に差す傘が、パッと開いた。

短編の素晴らしさが、ここに詰まっている。