舞台は中学。
日本の学校は同質を求められ、異質は排除されることが多いです。
暗い。太っている。痩せている。
人とは違うことが、まるで悪であるように。
そこには子ども特有の残酷な目があります。
この作品は、そんな息苦しさを、派手な事件ではなく、肌の感覚や視線の痛みとして丁寧に描いていて、読んでいる私はあの頃をつい思い出して目を瞑りたくなりました。
右手の手袋。
それは「隠すため」のものでもあり、「守るため」のものでもあり、そして時に「距離を作るため」のものでもある。
同じものを身につけていても、同じ意味になるとは限らない――その静かな残酷さと優しさが、物語の芯にありました。
季節の移り変わりや情景の描写が美しく、湿度や光、空気の匂いまで伝わってくるようです。
静かに冷たく、そして暖かく、心に触れてくる。そんな余韻の残る一作です。