2人目

 蓮元さん達と別れた後、僕は例の家の住所を特定するためインターネットを駆け回った。

 一体どれくらい探していただろうか、時間の感覚がおかしくなり始めた頃、突然そのサイトは見つかった。

 とある都市伝説専門の掲示板。そこには、「住所を公開します」の一言と、住所が書かれていた。

 根拠があった訳ではない、直感でその住所が神隠しの家のものと感じた。

 僕は急いで身支度を済ませ、その家へと向かった。


*********************


 その家は一見すると普通の民家だった。

 二階建てで、少し奥まった場所にポツンと建っている。

 きちんと手入れされているのに人の気配は全くない。それがとても不気味だった。

 僕は家を一目見ると、神隠しの家だと確信した。正人の家からも近い。ここにきっと正人はいる。

 僕は蓮元さんに住所を送り


 チャイムを鳴らした。

 しばらくしても誰も来ない。おかしいな、正人も先に来てる筈なのに。

 試しに扉に手をかけると、あっさりと開いた。何て不用心な。僕は遠慮がちにお邪魔しますと言うと、⬛︎⬛︎⬛︎の部屋へと向かった。

 二階の一番奥の部屋。

 ノックをすると声が返ってきた。何だ、居るじゃないか。僕は部屋を覗く。



 あれ、正人は?


 寝てる?そっか。じゃあ今日は2人?ふーん


 あ、そうそう玄関開けっぱなしだったよ


 田舎はそういうもん?本当にー?


 まあいいや。今日は何する?


 なんでもいいよ、なにしたい?






 部屋に上がる直前でふと足を止める。

 そういえば何か大事な事があった気がする。

 まあ、忘れるって事は大した事じゃなかったんだろう。僕は部屋に上がりドアを閉めた。




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ひといちみしい。 うちべこ @utibeko

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