地球の人口:50,187,280,321人 → 1人

2322年。世界はすべてを解決した――かのように見えた。

病気は克服され、食料は満ち、気候すら人の手で操れるようになった。
人類は、かつて夢見たユートピアを手にした……そのはずだった。
ただひとつ、誰も止められなかったものがある。
人の数だ。

人口は500億を超え、都市は眠らず、道は人であふれ、
プライベートも、静寂も、孤独すら存在しない社会へ。

そして、ある日突然、全てが止まった。

ひとりだけ残された男。
彼は毎晩、かつての『夢のようにうるさい日常』を夢に見る。
そして毎朝、ひとりきりの現実で目を覚ます。

未来の果てに、ただ一人取り残された人類最後の生存者。
彼の静かな日常と、壊れない腕時計の針が告げるものとは。

これは、終わりを迎えた世界で、たったひとつ残された記憶の物語。

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