ニトルス教会博士の新たに発見された書簡
幾たび目かセオへ
そして初めて
このような修辞学の基礎中の基礎を説くのは、しかしかつて君が私とともに、デビトアの学び舎に肩を並べたことをすっかり忘れてしまったように思われてならないからだ。だが私を忘れ果てたとしても、デビトアで学んだ偉大な作者と作品群のことを、君は忘れたわけではあるまい。そう、まさか、古の最大の賢人・ルーペルヴィウスの
それとも、もはや、これらの人々もその作品のことも、君の脳髄には留め置かれていないのだろうか。これらの名前はただの空疎な音の羅列としか、いまの君の耳には響かないのだろうか。とすれば、十代の我々があのデビトアの古い空の下で
「変節と共に、友情は重石を意味する。権力の中で、友情は係留を意味する」
〔Em enuerīs, sētinus gunīfo sētinam. Lu aunitīse, sētinus gunīfo sētinum.〕
かつての我々は〔男性形の〕「
しかしあの頃の豊かな薔薇色の頬を失い、代わりに
もしそうなら、かつての友よ、それらは
私は君を忘れよう。君との友情だけでなく、君自身を。
私は君を忘れる。私と君が同じ心で温めた理想を、私と君が一晩のうちに書き上げたあの演説の台本を、「変節と共に、友情は重石を意味する。権力の中で、友情は係留を意味する〔Em enuerīs, sētinus gunīfo sētinam. Lu aunitīse, sētinus gunīfo sētinum.〕」、SのあとのEのアクセントを発音する前の君のいつもの癖だった、歯のあいだを通る君の呼気の、
ウェンセトゥス24日 ラティディアにて
ニトとしてではなく
ピィラ教会のニトルスとして
く***たれ!何もできやしないやせっぽっちの〔二行判読不明〕弱虫のフクロウめ!呪われろ!呪われろ!呪われろ!世界で一番 大っ嫌いだ!
王への報告書 ニトルス教会博士の新たに発見された書簡について 久志木梓 @katei-no-tsuru
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