王への報告書 ニトルス教会博士の新たに発見された書簡について
久志木梓
王への報告書
真にして公正な統治者たる国王陛下に
このたび献上いたします書簡は、つい先般恐れ多くも陛下の祖父王が愛用された執務机の隠し
ご覧いただけます通り、書簡は発見されたときから状態が非常に悪く、握りつぶされたような皺も、右下より広がります焼け跡も、発見当初そのままにございます。また末尾のルメ俗語による乱文は、かの叛逆者が書き足したものと考えるが適当と思われます。(陛下がご高覧になるには不適切な語が含まれることをどうかお許しください!)
真にして公正な国王陛下、この書簡も含めた新たな一連の証拠品の提出をもって、わたくしはニトルス・ピィラヌス教会博士の処刑が事実無根であったことを主張いたします。何よりも彼の「叛逆者のもっとも親しき友にして叛逆の支持者」という永遠の汚名が
陛下、没後も多くの信徒に慕われる彼の徳高さを考慮すれば、彼が天上で不滅の名誉にあずかったことは疑いようもありません。しかし彼の地上での名誉もまた回復されることを、わたくしは望んで止まないのです。真実を明らかにし徳高き人々を称えることは、王国の統治を強固にし、陛下御身の徳を諸国に知らしめることに他なりません。
書簡は
首席判事 ラグアティウス・エルアルドゥス
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