概要
・人を選ぶ作品です。お気をつけください。
・このお話はフィクションです。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!悪役令嬢から気づかされた、創作の本質
悪役令嬢という記号的な存在に突きつけられた書き手の苦悩から始まる物語。ステレオタイプな悪役として消費されるキャラクター像に違和感を覚えた主人公は、内なる感情と対峙しながらその奥底に眠る人間性を探求しようと試みます。それは単なるキャラクターの深掘りにとどまらず、創作の根源、自己との対話という、より大きなものへと繋がっていきます。
本作の真髄は、創造の核心に迫ろうとする書き手の情熱にあります。表層的な物語の面白さや快感ではなく、自身の内奥に巣食う感情を曝け出し、それを物語に織り込んでいく覚悟が、読み進めるにつれてひしひしと伝わってきます。
自己の不完全さ、負の感情と真摯に向き合う姿。「…続きを読む - ★★★ Excellent!!!そして彼女は動き出す
さまざまな作品に登場する悪役。
読者に主人公への肩入れをしてもらいたいからか、彼ら(彼女ら)の悪行はエスカレート気味。
加えてその行動原理には、ハテナがつく物も多い。
だからたまに我に返って、こう思う。
――――こんなヤツ、本当にいる?
本作の素晴らしい点は、ここがスタート地点だということ。
テンプレは嫌い、流行りなんか知るか……では終わらない。
悪役たちの生まれた背景。
つまり創作者や読者に根差した感情を客観視しながら、しだいに「私」は自身の内面を掘り下げていく。
いわば考察と共感。
その過程で「私」は悪役と向き合い、彼女と二人三脚で歩き出す。
創作…続きを読む - ★★★ Excellent!!!清も濁も併せ呑み、一つ成長していく
「人生」とか「成長」という言葉を強く実感することのできる、一本芯の通った作品でした。
主人公は「悪役令嬢」のキャラ造形で悩む。どうしても悪意を持って行動する感覚にリアリティを感じることができず、どうやったらこのキャラクターを生きたものにできるかがわからずに葛藤する。
そんな煩悶を続ける中で、ネット小説の世界で交流を持っていた「ある人物」のことが思い浮かぶ。
その人物については、色々と「モヤモヤ」を抱えるものがあって……。
自分自身の「生の感情」というものを突き詰めていく内に、「よくわからないけれど誰かに反感を持ってしまう」ということを自覚していく主人公。
疑いようもない負…続きを読む