※第1章 My First Grave「№10 いのちの創作」
までのレビューです。
ポップでダーク、そして圧倒的にクレイジー!
死体探しを請け負う探偵事務所を舞台に描かれる本作は、一言で表すなら「魂の救済と破壊の物語」です。
死体でしか自己表現ができない躁うつ病の死体装飾家・無花果と、兄の死を追ううちに彼女の深淵へと引きずり込まれていく主人公・まひろ。
倫理の線を軽々と越えていく奇抜な設定やブラックなユーモアの裏側には、人間が生きるための切実な絶望と祈りが満ちています。
特に第10話で描かれる、食品サンプルと腐汁にまみれながら死体へ捧げられる狂気の創作シーンは圧巻の一言。
グロテスクな描写の奥底から、どうしようもないほどの美しさと孤独が立ち上ってきます。
「普通」の枠を外れた異端者たちが紡ぐ、いびつで美しい共犯関係のゆくえを、ぜひあなたの目で確かめてみてください!!
作品タイトルに「死体」とあるため一瞬身構えてしまいますが、実際の内容はヒューマンドラマ+ドタバタコメディ。安定感のある筆致と安心感のある世界観が魅力の、大人が楽しめるミステリー小説です。
特筆すべきは、1話ごとにキャラクターの心情が丁寧に描かれている点。作家の繊細さと思慮深さが行間から伝わり、それが本作が多くの読者に愛される要因のひとつとなっているように感じます。
また、「陰と陽(死と生)」という対比が随所で響き合い、作品全体に独自のリズムを生み出しています。まさに作者の感性が化学反応を起こし、物語として美しく花開いた印象を受けました。