響く声
天蝶
第0話
ある静かな夜、大学生の美咲は一人暮らしのアパートで勉強をしていた。寝る準備をする時間になり、勉強道具を片付けていると、ふと窓の外から“不気味な声”が聞こえてきた。
「美咲…」
驚いて窓の方を見ると、近くの公園で誰かが立っているのが見えた。明かりもない公園で、ただの影のようだった。心臓がドキドキしたが、声が自分の名前を呼んでいることに不気味さを感じつつも、興味が勝り、窓を開けた。
「誰?」
しかし、反応はなく、ただ風が吹き抜ける音だけが聞こえた。美咲は少し足を滑らせて窓から下を覗いた。懐中電灯を持った人影がちらちら見えて、まるで自分を待っているように感じた。
「美咲…こっちに来て…」
その声は再び耳に響いた。恐ろしさと同時に、何かに引き寄せられるような感覚があった。美咲は恐る恐る、鍵を持って外に出ることにした。
公園までの道は暗く、街灯がまばらであった。美咲が公園に近づくと、声はよりはっきりと聞こえるようになった。
「美咲、早く…」
声は優しく、しかしどこか異様な響きがあった。彼女は胸の奥に不安を感じながらも、声のする方へ進んでいった。公園の奥で、木の影から一人の女性がこちらを見ていた。
「あなたが、美咲さん?」
声の持ち主は不気味で美しい女性だった。美咲は直感的に恐怖を感じ、後ずさりした。
「何か、用なの?」
女性は微笑みを浮かべ、近づいてきた。しかし、その顔はだんだん不気味になり、笑顔の裏に隠れた真意が見え隠れする。
「私と、一緒に来てほしいの…」
美咲はその瞬間に意識が働き、逃げることを決めた。全速力でアパートへと戻り、鍵を閉めた。しかし、心臓がドキドキして、あの声が耳から離れなかった。
次の日、美咲は大学に行った。そして、クラスメートにその出来事を話すと、彼女は驚き慈しみの目で見返した。
「それ、私も聞いたことがある。『美咲という名前の人を誘う影がいる』って噂があるんだよ。」
美咲は恐ろしくなり、もう一度その声を思い出した。
ただ、その影は、他の名前を持った誰かを探し続けているのかもしれない。彼女の名前を呼び続ける声が、決して消えない限り。
響く声 天蝶 @tenchoo
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