揺れる心が映すもの

 結婚生活は、日々の積み重ねです。
 愛していたはずの夫の存在が、いつの間にか「家族」という枠に収まり、恋のときめきとは遠いものになっていきます。
 仕事と育児に追われ、自分は「母」として、そして「妻」として役割をこなしているだけなのではないかと感じる瞬間が増えていきます。

 そんな日々の中で、魅力的な上司が現れます。
 スマートで洗練され、甘い言葉をくれる彼は、忙しさに埋もれていた「恋する気持ち」を思い出させてくれます。
 何気ない視線や仕草、さりげない優しさが、忘れていた感情をゆっくりと解きほぐしていきます。

 けれど、現実は簡単には変わりません。
 ふと振り返れば、そこには確かに家族として築いてきた時間があり、夫がいて、子どもがいます。
 心が揺れるたびに、自分の立場や選択を突きつけられるような気がします。

 一度は見失いかけた愛が、どこにあるのか。
 本当に大切なものが何なのか。
 ルージュの色が変わるたびに、彼女の心も少しずつ変わっていきます。