概要
そのために、副作用は承知の上で、きついドーピングに手を染め、日本トップクラスの小田島昇(しょう)選手をトレーナーに頼み、秋までの半年間、自分を厳しく追い込んでいきます。
その過程で、深刻な副作用が顕在化し、徐々に彼の身体も精神も蝕まれていきますが、彼の心は屈することはありません。何が彼をそこまで駆り立てるのか、ビルダーにとって筋肉とは何なのか、その心の深淵を覗き見る小説です。
彼は果たして、オリンピア・ジャパンを獲り、プロカードを手にできるでしょうか。そしてその先に何が見えるのでしょうか。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!ボディビルという未知の世界で輝く、狂ってはいるけれど限りなく純粋な魂
私は子どもの頃から超がつくインドア派で、50m走は速くて10秒台、体力テストのシャトルランではいつも真っ先に脱落、いまでは休日などゴミ捨てに行くのも面倒くさいというありさまです。
いちおう室内でできる筋トレくらいはするのですが、あくまで健康のためであり、体を鍛えたいからというわけではありません。
ですが……いいえ、「だからこそ」かもしれません、この物語にはたいへん驚かされぐいぐいと引きこまれました。
ボディビルダーの「僕」(小田島昇)のもとに現れたのは、篠崎誠司という青年。「オリンピア」というボディビルの大会でプロカードを獲るため、トレーナーになってほしいと言います。
「『オリンピアのプロ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!薬物と情熱の果てに行きつく先は
ボディビルの頂点を目指すためなら薬物使用すら厭わない男・篠崎誠司。
オーバードーズの副作用を打ち消すためにさらに別の薬を重ねる――その執念は、読んでいて思わず震えるほどです。
なのに、破滅へ向かって突き進む姿に恐ろしさを感じながらも、気づけば応援してしまっている自分がいる。
ストーリーは強烈でテンポよく進み、狂気とユーモアのバランスが絶妙で、読後には切なさと、どこか不思議な余韻が残ります。
私も含め、多くの読者にとってボディビルは未知の世界だと思いますが、この作品は、トレーニングや筋肉増強の過程が驚くほど詳細に描かれています。
そのリアルさに触れてみたい人には、特におすすめしたい一作です。 - ★★★ Excellent!!!その一瞬のために、この一生を懸ける。
狂気の男、篠崎誠司が歩むトップボディビルダーへの道。
しかしその道は、想像を絶するような地獄の苦しみに彩られる。
ストイックな食事。投薬による弊害。磨き上げられていく肉体とは裏腹に、悲鳴を上げる内臓と精神。それでも彼は自身を追い込むのをやめない。あのスポットライトをステージの真ん中で浴びるために。
そのためならこの肉体にすべてを捧げる。
命すらも、この身体に捧げてみせる───
ボディビルの世界についてその内情や、ビルダーたちがいかにしてあの身体を作り上げているのか、作者様の綿密な取材や実体験を元に描かれます。
彼らはまさに、ほんの一握りの者がステージで掴めるその一瞬の栄光のため…続きを読む - ★★★ Excellent!!!筋肉に取り憑かれた『篠崎』―― 狂気を描く『小田島』に魅せられる読者。
この「ひとこと紹介」が、すべてを物語っていると思います。
まず最初に申し上げると、私はボディービルダーの世界にはまったく興味がありません。
当然ながら、作中に登場する専門用語や、『篠崎』という人物の行動の多くに、理解が追いつかない場面もありました。
それでも――
いや、それだからこそ、かもしれません。
ページをめくる手が止まらず、一気に読了してしまいました。
気がつけば、自分も“何か”に取り込まれていたような、不思議な読書体験でした。
主人公が作者と同じ『小田島』という名前なのも、どこかメタ的で印象に残ります。
そして迎えるラスト――予感はしていましたが、それでも圧倒されました。
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