第3章 最終話 幸せに…
渉?
渉と別れた後に番号は変えた。
なぜ、分かったのだろう?
「何の用でしょうか?」
と冷たく言ってみた。
「俺、海外に行っていて…この前帰ったばかりなんだ…梓のことどうしても忘れられなくて…調べた。もう一度、会ってくれないか?」
「私には、用はありません…会う気はないです」
「梓、子どもがいるよね?その子は俺の子なんじゃないのか?」
「そんなわけないでしょ!変なこと言わないで下さい。あの子は、あなたと別れた後に出来た彼の子です」
「本当か?」
「本当です。もう電話かけて来ないで!」
そう言って電話を切ったけど…
どうしよう?
渉が調べれば、すぐ分かることでもあった…
それから…
渉は、家にもやってきた。
「あなたと話すことはありません。警察に電話しますよ」
そう追い返したけど…
また、いつやって来るかも分からない…
梓は、元に相談した…
「僕は、会って話した方がいいと思います。僕も一緒に行きますから」
元は、そう言ってくれた。
そして…
渉を呼び出して、一緒に会った。
「梓、会ってくれてありがとう。で…この人は誰?」
「この人は………」
「梓さんの恋人です」
元がキッパリと言ってくれた。
「そうですか……。そんな人がいたんだ…」
「そうです。だから私は、あなたとやり直すことはないです」
「でも、あの子は俺の子でしょ?責任が取りたいんだ…」
「あの子は、私の子です。だから、あなたに何かして貰う必要はないです。例えば、あなたの子どもだったとしても…あなたの手助けは要らない…」
「梓さんと子どもさんの事は、僕が支えていきます。だから、もう僕たちの前には現れないで下さい」
元は、そう言ってくれた。
それを聞いた渉は…
「分かった……」
と、寂しそうに言って…帰っていった。
「元さん、こんな場面に付き合わせてしまって…ごめんなさい。あんなことまで言わせてしまって…」
「いえ、気にしないで下さい。あれは、本心ですから…」
「えっ?」
「僕は、どうしても貴女のことが気になってしまって…目が離せないんです。これがどうしてかは分らないけど…貴女といると楽しいんです。貴女と別れても、またすぐ会いたくなるんです。本当はこんな形で告白するつもりじゃなかった…でも、渉さんが現れて…焦りました。梓さん…僕と付き合って下さい」
「元さん、ありがとう。そして…私も元さんが大好きです。よろしくお願いします」
やっと…梓の想いが通じた…
私は、元と愛し合うまでにどれだけの人生を生きてきたのだろう…
いつも、私だけがあなたをあなただと知っていた。
それでも、いつか愛し合えれば…と願っていた。
やっと愛し合えた…
これまで、頑張って来て…本当に良かった…
過去の記憶と前世の人が分かる力を与えてくれて…
ありがとう。神様…感謝しています。
それから二人は、順調に愛を育み…
三年後に、結婚した。
父と母も、元を気に入り…祝福してくれた。
そして、最初にはできなかった二人の間の子どもが生まれた…
名前は、
そして、穏やかに日々は過ぎていった。
光も、湊も独立して…巣立っていった。
瞳も、先日結婚して家を出た。
子ども達が、巣立って二人になっても…
最初の人生のように、穏やかで…幸せな日々…
これで、悔いはない…
でも、もし生まれ変われるとしたら…
―――元と、もう一度愛し合いたい…
そう、願ってしまうかもしれない…
私だけが、あなただと知っていても… 秋風爽籟 @sourai-a
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