第4話 あんぐり大口を開けて待ち構えているオオカミども
兎は、賑やかに、色とりどりに、華やかに築き上げられたオオカミ達の饗宴場に入って行きました。
饗宴場でのお仕事は、たしかに、実入りも良いですが、その血肉を売って得たお金も、見た目と見栄と酒量だけは一丁前のオオカミにつぎ込んでしまう兎さん。
あらゆる趣向を凝らして造りこまれたオオカミどもの狩り場の最奥へと追い詰められた兎たちには、自力で這い出る気力も体力も残されていません。そして、オオカミたちには慈悲も恥もありませんので、喰いつくされたあとは、無惨に投げ捨てられて終わりです。
やはり、オオカミたちは賢く、兎は馬鹿で哀れです。誰がこんな世界を望み、造り上げたのでしょうか。私はとても許せやしません。狡猾なオオカミはもちろん、馬鹿な兎もです。私はどちらも憎いのです。
今宵も新しい耳飾りをまとった柳のように細長い耳と上等な薬液で手入れされた透き通るような美しい毛並みが、月明かりを浴びて、艶やかに、星のひかりの流れに濡れたかのように、
いい兎と賢いオオカミ 蒼井夏樹 @AoiNatsuuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます