BCの地中海に、こんな女王が存在していたなんて、読み始めから惹きつけられます。
テウタ様はいかにも古代の統治者らしい、荒くれた性格で、見ていて本当に楽しいのです。(大好き)
荒川先生の筆が、史実から圧倒的な躍動感を書き起こし、リアルのように再現しているので(船上でキーック!)まるで映画の一場面か演劇の舞台を見ているかのような気分になります。
「わらわ」のセリフを “なりきりテウタ様” で読み上げると、さらに愉しめます。
この作品は余韻を十分残していますので、色んな方々への可能性・・・荒川先生のこちらの原作をもとに、このあと映画、演劇の脚本としても、大きな可能性を秘めていると思います。
船のバトルシーンは明らかに映画なのですよね。
脚本家とのパンプアップに期待w
さくっと読めるだけでなく、あれこれその先を想像してしまうほど、ワクワクが止まらない歴史小説です。
ぜひご一読を!
読了したので書きます。
海賊といえば『パイレーツ・オブ・カリビアン』のイメージが強いですが、歴史自体は古いです。紀元前のギリシア時代、古代ローマから暴れ、最盛期には国家を形成するほどの勢力を持つに至っています。ポンペイウスが討伐を強行するまでその暴威は続きました。
しかし、その中に1人の「女王」が居たということは知りませんでした。
名はテウタ。かの民族が記録を殆ど残していないため詳しいことは分かっていませんが、紀元前の地中海でギリシア都市国家、古代ローマを相手に縦横無尽に暴れました。
比較的女性に寛容だった古代ローマではあっても、基本的に「女王」という存在は珍しい。しかも、18とあまりにも若いです。
であるからこそ、無鉄砲さと野心と舐められたくないという虚栄心が同居した男社会の中で奮闘する女王の造形があるのでしょう。読んでいるとテウタが必死になって戦っている姿が浮かんできます。
最後は古代ローマの歴史が示す通りなのですが、花火のように一時のアドリア海に輝いた「女王」の伝説を見てみませんか?
紀元前3世紀、アドリア海を舞台に繰り広げられるこの物語は、イリュリアという小国とその女王テウタの生涯を描いた壮大な歴史ロマンです。南にギリシア、西にローマという二つの大国に挟まれたこの国は、海賊行為を国家的な収入源とする独自の文化を持っていましたが、ローマとの対立をきっかけにその運命を大きく変えていきます。古代地中海世界の交易や覇権争いが複雑に絡み合う中で、小国はどのように生き延びようとしたか。テウタという人物を中心に、大胆な脚色を加えたフィクションとして展開されます。
主人公テウタは若く美しく、そして「海賊女王」という言葉がふさわしい、まさにカリスマ。若くして権力を掌握した彼女は、イリュリアの繁栄と没落の両方を体現します。自ら戦場に立ち、兵士たちを鼓舞し、敵陣に切り込む雄姿。彼女の魅力はそんな行動力と大胆さに溢れています。一方でその行動や決断には若さゆえの危うさもあり、物語全体の緊張感を高めています。テウタは冷酷さと情熱の二面性を兼ね備えた、強さと弱さが同居したキャラクターとして読者を引きつけます。
彼女を取り巻くキャラクターたちもまた魅力的です。夫であり先王のアグロンや義弟スケルディライダス、信頼と裏切りが交錯するデメトリオスなど、それぞれがテウタとの関係性の中で物語に深みを与えています。特にデメトリオスとの駆け引きや対立は、物語の重要な軸となっており、人間関係の複雑さが丁寧に描かれています。
史実への敬意を忘れず、かつ思い切った創作性を持つ本作。イリュリアやアドリア海周辺の地政学的背景や文化的特徴をしっかりと抑え、説得力を持たせる一方で、史料が少ない部分については大胆な想像力によって補われており、物語のエンターテインメント性を高めています。
一人の女王の波乱万丈な人生を通じて描かれる、古代地中海世界のダイナミズムと人間ドラマ。読者はテウタという一代の女傑に共感し、その魅力の虜になるでしょう。彼女の生きざまについて思いを巡らせ、歴史の荒波を感じてみてください。
祇園精舎の鐘の声……
時代も国も全く違うのですが、本作を読み終わった後に、ふと『平家物語』の冒頭を思い出しました。
舞台は地中海。女性でありながら王位につき、大国を相手に文字通り暴れまわる主人公:テウタはタイトル通りの「海賊女王」。
本作はそんな海賊女王:テウタの繁栄と衰退を描いています。
彼女がその権力と戦の才覚を見せつける海戦のシーンはぜひ本作でご覧ください!
恥ずかしながら、浅学な私は史実の彼女を知らなかったのですが、とても分かりやすい文章で、彼女の女傑っぷりに感服しました。
普段、歴史小説を読まない方にも、おススメですよ!