第4話 立ちんぼ

自殺しようとしていたゆうじは神に救われた。


その日、神様を自宅に招いて神様としゃべっていると


急に睡魔が襲ってきた。


zzz


ゆうじは眠ってしまった。



「…うっまぶしい」


ぼんやりしていると何故か路地裏を歩いていた。


自分の体に手を当て服装を確認する。

通勤時のいつものよれた下グレーパンツに上はスーツだった。


ゆうじは驚きのあまりカバンを落とす。

回りの人がなんだろうとこちらを見ていた。


あわててカバンを拾う。


しばらくすると通勤で使っている道であることに気づく。


ゆうじは無性に恥ずかしくなり下を向いた。


「ふぅ」


身に付けている腕時計を確認した。

丁度いつも通勤で通る時と同じ時間だった。


わからないが、なんだか妙にに違和感が合った。

耳を澄ますと後ろから声が聞こえた。


ゆうじは後ろを振り返る。

後ろを振り返ったが誰もいない。


「おい落とすんじゃない」

なんか声が聞こえた。


「へっ」

寝ぼけた様な声を出す。


「こっちだこっち」

「足元だよ」


ゆうじは足元をみる。


小さい小人がそこにいた。


まさに昨日橋で現れた神様だった。


「おぉ神様…かなやさん夢じゃなかったんですね」


「わかったから早くお前の肩に乗せろ。」


「はいわかりました。」


ゆうじは言われた通り、神様事、かなやを拾い上げると自分の肩に飛び乗ってくる。


「よしっありがとな」


「いえ神様ですから当然ですよ」


「お前の所の生徒だが、なんか怪しいぞ」


かなやはアゴに指を当て眉間にしわを寄せた。


「ん?どいうことですか?」


「あの嫌がらせを受けて帰った生徒の事だ。」


国分ひろこ、というゆうじが受け持っているクラスの生徒の一人だった。

ある日、友達から嫌がらせを受け教室をでていってしまった。

その日から何故かクラスは荒れ担任にまで害が及ぶようになり

色々事情があった、平ゆうじ(たいら ゆうじ)は橋から飛び降りてしまった。


「おぅ実はな、過去をさかのぼって出来事を見てきたんだ。」

「へぇ…って怖っ」


「いや、あれだぞ救い人の困っている事に関する事しか見れないぞ。」

神は慌てて補足した。


「そうなんですか。」

「まぁそこは安心しろ。」

「そうですか、私の為にありがとうございます。」


ゆうじは軽く会釈しながら言った。


「ふぅ、まぁ神だからな」


「はははは。」


神は上機嫌で笑う。


「私の生徒が怪しいってなんなんです。」


「ああっもうすぐわかる。」


「日付を見てみろっ。」


ゆうじはスマホでカレンダーを確認する。

神も乗り出し一緒に確認した。


今から1か月前の日付だった。


「えっこれって…時をさか登って…」

「あぁ一応なっ。ははっ。」

「初めてなもんでよ出来るか怪しかったがな。」


「でも、すごいですねぇ、じゃあもしかしてこの日は」

「ああっあの、むすめが帰っちまう日だよ」



「じゃあいくぞっ はらほれほいっと」


くわわわーんっ、とまばゆい光と音が起こる。


「えーー」


気づくと黒板を背に教台に立っていた。


国分ひろこが廊下に出て行こうとしている。


しゃーっ


扉の音


「あのっ」

ゆうじは混乱していた。

「おい何してる早く追え」

生徒達が怪訝な目をしている

「どうしたんだろぅ先生」

ぼーっとしているゆうじを見て一人の生徒が声をだす。


「はやくはやく急ぐぞ」

生徒の声をさえぎるようにかなやは言った。

「はっはいっ」


「はいっじゃあ皆、自習ですので。でわっ」

ゆうじは慌てていた為、変な言葉遣いになる。


「ははっもうちっと早い方が良かったな」

「なんたってタイムスリップは初めてだからな」


ゆうじとかなやは学校の廊下に出るとすでに国分ひろこの姿はない。

「とりあえず尾行するから確かあのムスメは正門から出ていくはずだ」

かなやは耳元で言った。

「へっ尾行するんですか。またなんで」

主旨を理解していないゆうじはあまり乗り気じゃなかった。


「とにかく、いいから行くぞ」

「はいっ…」


ゆうじは仕方なく正門に向かう

「ちょっとまて正門に行ったら、ばれる。」

「どうしましょ」


「自分で考えろ」

うーんとゆうじは悩んだあげく

「はいわかりました2階のあそこだったら」


2階の廊下部分の窓から正門が見えた。


二人は足早になった。


校内は熟知していたため、たどり着くには数分とかからなかった。


二人は窓から正門を覗き込んだ。


すぐに正門からひろこが出ていくのが見える。


「早く追うんじゃ左に出て行ったぞ」

「確かあっちは○○駅の方です」

とゆうじは言った。


「じゃあ追うぞ」

「はいっでも間に合わなそうな気が」

「いいからいいから」

「とにかく走って駅に向かうんだ」

「はいっわかりました」


ゆうじはあわてて返事をする。


ゆうじは正門から出ると走り出す。


「ひゃー。ゆれるー。」


神は振り落とされそうになり肩につかまる。


「ってわしは飛べるんだったわ。」

と肩から手を離す。


かなやはゆうじの横をスーパーマンの様に飛ぶ。


革靴だと音が響くし走りづらい。


「はーもぉきついです」

「ははっもうちょい頑張れ」


路地を曲がったその先が駅だった。


二人は駅に近づこうとすると切符売り場に立つ女子生徒が居た。

後ろ姿で出て行った国分ひろこだと分かった。


「間に合ったな」

「はいっでもなんで尾行なんか…」


「ああっ実はわしもわからん、過去は見れるが細かい事情は理解できん

だが、その時からお前らの生徒が荒れだしたろ。」


「わしの推理に寄ればな、ははっ」

推理漫画の主人公の様なポーズをきめながら神は言った。


「まぁ確かに…」


ゆうじは半信半疑だったがとりあえず同調した。


遠目で改札に向かっていくひろこを確認した。

「○○方面に行くな」

「はいっ…」

「…」

「でも、おかしいですねぇなんであっち方面なんだろ」

「確かあの生徒は○○町だからそっちじゃないはずですね」


「とにかく追うぞ」

「はいー」


二人もひろこと同じ車両に乗る事が出来た。

「おぃでも近すぎんか」

「そうですかねっ」


幸い車両には時間の割りには人がある乗車していた。


「多分大丈夫ですよ」

と小声でゆうじは言った。


「そうかそれは良かった」


電車に乗ったひろこは扉の前でスマホに目を落としていた。


二人はその座席の端から約3番目に座っていた。


「おい結構長い時間乗ってるな、はい確かこの電車は都内に向かう電車ですね。」

都内までは約1時間程かかる。


只まだ10分くらいしかたっていないのに神様は、

せっかちだなとゆうじは心の中で思った。


神様はじっとしていられないのか頭をかきかき、ゆうじの肩の上から窓を見てラジオ体操をした。


「もう少しですから、頑張ってください」

「おぅ大丈夫だ」


しばらくするとひろこが電車を降りていく。

「おいっ降りるぞ」

ゆうじも様子を伺っていたためすぐに席を立った。

「はいっ行きましょう」


そこは某有名なハチ公や109、若者がたくさんいる町で有名な渋谷だった。


人が平日でも多く、ひろこを見失いそうになる。


「わしが前に行くから付いてこい」

そういえば神様の事は他の人には見えていない様子だった。

皆急ぎ足で歩いているせいか気にしていないだけか。


自分だけはっきり見える感覚は不思議なものだ。


「おいっあっちに行ったぞ」

たしかあっちはハチ公がある方だとゆうじは心の中で思った

了解ですと言う代わりに自衛隊の敬礼のポーズをする


二人はしばらく、ひろこを追うとそこはホテル街だった。

正直あまり治安は良くなさそうで酔っ払いが寝ていたり。

なんぱ待ちなのか女の子が道の前で立っていたり。


「ってここホテル街ですよ」

「ああっだから怪しいって言ってるだろ」

「そうですね」…
















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神が地上に降りたって冴えないおじさん女子高教員を救う?話 @dangimlet

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