第3話 神
教師の平ゆうじは飛び降りようと橋の上に立っていた。
手を後ろの柵に掴みまさに今飛び降りる体制だった。
そして何故か小人のような仙人のような人が自分の肩であばれている。
肩には感覚はない。
「誰ですか」
もう一度言うと
「えー誰に見えますか。」
「うーん。」
ゆうじは親指を顎に当てて考えるそぶりを
みせる。
「じゃあヒントです。」
「か、から始まって、み、で終わるものなんだ。」
「がははっ、ってほぼ答えだったわ。」
神様なんですか。
ああっ神だと言いたいところなんだがな。
「がははっ。」
「ちがうよーん。」
「あははっまぁとにかく野暮な事は聞かないように。」
「ああっまぁ、あれだ下界に来て救い人をだな。」
と神と名乗るハゲ親父は言った。
「1年程待ったが中々救い人が現れなくてなぁ。」
本当に死のうと思っていたゆうじはなんで死ぬ決心でいるのにこんな
幻想が見えるのかこれが走馬灯なのかと思っていた。
だったらもっと辛い思いをしている時に早く起きて欲しかった。
緊張のせいか恐怖のせいかゆうじの視界がぼんやりしてきて
その場にしゃがみ込む。
ゆうじは元々低血圧で緊張したり精神的に負荷がかかると
体の力が抜けて立っていられなくなる。
柵がお尻に当たりお尻が柵を押す形になった。
川に飛び出す様に空中に飛び出した。
バンジージャンプってこんな感じなんだなと思いつつ
やっぱ死にたくないと言う本能的な思いで目をつむる。
諦めかけた次の瞬間体に感じていた風圧の感覚がなくなっていた。
恐る恐る目を開けると景色が止まっている。
体は全く動かす事が出来ない。
念仏の様な声がイヤホンの様に耳元から聞こえる。
「なんまいだぶ、なんまいだぶ、なんちゃらほんちゃらさ」
「とりあえず止まったか、でもどぉしよっかな」
「あっそうだ」と神は杖を振りかざした。
ゆうじの頭に軽く杖が当たる。
「へっ?」
「おお悪い悪い、あははっ」
「また落ち始めてますよ」
「とまれぇー」
「ぇーー」
神は杖を振りかざす。
二人はまばゆい光に包まれた。
「とりあえずお前んちの住所は」
「えっと、○○県〇市123-2-202です。」
仙人は考えて目をつむり住所を復唱すると
はぁっと杖を振る、杖はゆうじの頭に当たった。
その次の瞬間、軟らかい物に着地した。
目を開けると見慣れたテーブルとテレビがあり
自分の家だと気づくのに時間はかからなかった。
「ふっう、なんとか間に合ったな、良かった良かった。」
仙人はおでこの汗を拭きとる仕草をする。
ゆうじは驚きと感動と不思議な出来事に神と名乗る小人が
本当に凄いのだと実感し感動していた。
というか夢でも良いかなと思っていた。
「おおっ本当に神様なんですねぇ。」
「おおっだから言ってるだろ野暮な事は聞くな。」
「まぁ修行中とは言っておこう。」
内心かなや、も驚いていた。地上では魔法の様な事が出来ると聞いては居たが
半信半疑だった。
神、こと高坂かなや(たかさか かなや)はうんうんと目をつむり自分すげぇー。
神様ありがとう力を与えてくれてと思っていた。
ゆうじは色々と質問したくて神に目を向けていた。
「おおっなんか聞きたいことあるか。」
「何が聞きたいんだ、まだ言っていなかったが
俺の名前はかなやって言うんだ。」
「はいっかなやさん宜しくお願いします。」
「私は平ゆうじって言います。」
「おぅ宜しくな」
「じゃあなんか困っている事があるだろ。」
自分が受け持つクラスが荒れている事とそれが原因で生徒に嫌がらせを
受けている事をゆうじは事細かく話した。
そうか、それで死ぬ理由になるかと思い
「本当にそれだけの理由なのか。」
かなやは不思議そうにゆうじに問いかけた。
「はいっ実は母が病気で莫大な手術費がかかるんです、そこに仕事での事も
あり頭がいっぱいいっぱいになって。」
「そうだっだのかぁ。」
「それは辛かったなぁ。」
「まぁもう安心していいぞ俺が降りてきたからにはなんとかしてやる。」
「はい、ありがとうございます。」
「只、基本的にはお金をやったり何か物品を与える事は出来ない。」
「基本、救い人の助言者みたいな感じだな。」
「なるほど、いつまでおられるんですか。」
「まぁそうだなひと段落したら天界に帰れるんだが具体的にはわからん」
「そうですか…」
ゆうじは疲れの為か無性に眠くなり意識が消える。
「すー、すー」
4に続く…
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