誓いと愛、そして始まる新しい未来

 第一部を読んでの感想です。

 「婚約破棄」から始まったドロシーの物語。彼女自身が真の幸せを見つける過程が丁寧に描かれています。貴族社会のしがらみに縛られながらも、自分の道を切り開く彼女の姿には好感が持てます。

 ドロシーは決して弱くはないけれど、だからといって完璧でもない。等身大の魅力が、物語を通して描かれます。そんな彼女を見守るのは、誠実で不器用な辺境の魔法騎士・ベルンハルト。彼の真っ直ぐな優しさと誓いの言葉は、シンプルだからこそ心に響きます。

 軽快な会話のテンポと細やかな心理描写が素晴らしく、甘さと緊張感のバランスが心地よい構成になっています。王都と辺境という異なる舞台が、それぞれのキャラクターの成長を象徴するように描かれているのも印象的です。

 ドロシーとベルンハルトの関係がどのように変化していくのか、今後も目が離せませんね。運命に翻弄されながらも自らの意志で未来を選び取る二人の姿に、読後は温かい気持ちになれます。素敵な物語でした。

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