15・後日談編

工場の分厚い壁を、人影が伝う。

「手薄な方から、だよな」

『うん、行けそう?』

「大丈夫!お任せあれだよー」

アディルは、スマホに向かってグットサイン。


[気に入ってるのだな、それ]

「決め台詞みたいでカッコいいよね!!」

「ね!俺も好き!」

「お前らうるせぇ。っつってんだろ」

「「はーい」


今日の担々団体は、依頼で部品工場本部まで来ている。



…前回で、彼らの物語には一区切り。

だがワタシはまだまだ語り足りない!


そういう訳だ。キャラ詳細やプチエピソードを盛り込んだので、

キミも覗いて行ってくれ。


        〇ー♢ー〇ー♢ー〇ー♢ー〇


【組織一覧】


担々団体:需要が高く供給の少ない品を売りまくり、高額依頼だけを受ける団体。

善悪の判別ができない。団員が死にやすい。死に過ぎて倫理観がぶっ飛んでる。

喋る花が居る。事務所が家。


ウラ紙の裏に書くわ:社長の近くには信頼できる者しか置かず、あとの社員はの顔すら知らず従っている。

国レベルの経済(生産、情報など)を握る大きな株をもつ。


イウォンモール:国内有数のデパートメント。種類ジャンル豊富な店が集まるが、イウォンブランドオリジナル食品も扱っている。

ブティック5社かけもちの凄腕店員🙃が居る。


鯵啞国役場:王政の維持が崩れかけた時に設置された、国民の戸籍と住所を管理する役所。国王の命よりも権力を持つ者が絶対、というスタイル。

国王軍のスタンのような、役に立つ者なら誰でも特別扱いする組織。


ブレッドメイト:戦後に、国役場が「奴隷より駒として使った方が良い」と判断し結成された。国役場の圧力には逆らえない。

センスが命名し"ブレッドメイト"に。


バッテン承知:世間にはニコニコと良いカオを売っておき、裏で莫大な金を動かす黒い組織。「ボス」「社長」ではなく「アニキ」と呼ばれるリーダーが居る。

黒パーカー集団。


硬貨の塔:ルドラッシュ創立の会社。社長ルドを中心に、

作戦班・医療班・潜入班(名付けて担々団体)・営業班(もと"バッテン承知")

の四つで構成されている。


ちなみにどこの組織もに足を突っ込んでいる。

…イウォンモールは分からんが。


        〇ー♢ー〇ー♢ー〇ー♢ー〇


【担々団体の日常】

「今月分の電気代やばいよ。アディル、どうしよう……」

「あー………適当で大丈夫じゃない?

苣に任せるよ。」

「えー……」

その会話を聞いていたネイが口を挟む。

[アディルは意外とそういうところ大雑把なのだな]


「大雑把…というか、この国のお金よく分かんない。」

「わっかる~!!通貨の単位って全部難しいよね~!」

「リーヨウは字書けないもんな?」

「しっ……仕方ないじゃん!ボクんとこで使ってたの民族語だもん!」

「リーヨウたんかわいいっ!」

一通り雑談をしてから、ネイが切り出す。


[大雑把といえば、O型はルーズとキッチリが

極端に分かれてるらしいぞよ。リーヨウは何型だ?]

「B型!いやぁ、B型は天才肌っていうからねぇ」

「ネイの予想したこと図星だ!俺O型!」

振られた話題には全力で答える、リーヨウ&アディル。


「私はA型だよ~」「ええっ!!!?」

「んな驚くなや…A型は空気読むの得意っていうから納得いくわ。」


その会話にルーは肩を震わせて笑う。

「……ボクたちの会話、そんな面白かった?」

「あはっ、あははは…!い、息できないっ…!」

予想外のところで爆笑したルーに、リーヨウは目をぱちくりさせる。

「思いがけないところでツボに入るのもO型っぽいな。」

「そういう霙はどうなの?」


「B。正しくは知らないけど」

「霙、ボクとおっそろーい!!」

リーヨウがぴたーっとくっついてきて、

ほっぺを触りまくったが悪い気はしていない霙。


「あ~!霙ずるい!リーヨウたん、私も混ぜて~!」


「…しかしこいつ、肉まんみたいな頬しやがって」

「この小さな顔のどこにこんな肉が……?」

「もちもちなリーヨウたんもかわいいっ!」


リーヨウのやわらかすぎるほっぺたを、

皆で伸ばしまくる。

「なんかリーヨウのほっぺさわってたら

 肉まん食べたくなってきた…」

「ちょっと!!ボクの肌を肉まんにたとえるって言うの?!

 ………でも、いいなぁ。中華まん食べたい…」

「いいじゃん!久々の外食だ~」

三人は中華まんの話で盛り上がっているが、苣は一人顔を曇らせる。


「……費用、今月もギリギリなんだよね…」

「え‼もしかしてお金無い…?」


どうやら、外食をする金がないことを嘆いていたようだ。

「ぐ……‼でもイーユイたんが中華まん食べてるところ見たい…‼

今月中、ちょっと夜中にゲームするのを控えればなんとか…」

「オレら、ゲームに電気代取られすぎだもんな。いいよ。」

[確か霙、肉まんが大好物だったな。]


というわけで、中華まんを求めて出向くことになった。

「みんな、何にした?」

「私あんまんー」

「オレ肉まん。めっちゃ上手い」

「ボクはスペシャルまん!」

「「「[スペシャルまん??」

三人と1輪の声が重なった。


「てっきり俺、リーヨウはピザまん選ぶのかと思ってた!」

「え、お前それ、なに入ってんの?」


「えっとねー、チーズと、ポテトと、ケチャップと、しちみとうがらし?だって!」

「ケチャップまでは子供っぽくて可愛かったのに…

 七味唐辛子!?リーヨウたんそれいける?」

「色々入ってスペシャル~な感じ、わくわくしない?」

キラキラと目を輝かせるリーヨウ。


[…わくわくするぞよ。しかし、唐辛子…か]

「名前的に辛そうじゃない?大丈夫、リーヨウ?」


そう言われてようやく、「え?!辛いの?!」みたいな顔するリーヨウ。

「まぁ…なんだろうね、物は試しだよ。大丈夫大丈夫。

中華まんにケチャップはどうかと思うけど、食べてみたらいいんじゃない?」


ルーの言葉で、リーヨウは少し不安がありつつもゆっくりとかぶりつく。

「…………おいしい。」

「美味しいのかよ…」「リーヨウたん可愛い!」


【屋敷清掃の後】

「ち~しゃっ」

「うわ⁉リーヨウたん可愛いね⁉」

後ろから呼ばれて、ついでに『可愛い』と言っておく。


その『可愛い』顔はいたずらっぽく笑い、

「ボクは全部知ってるんだよ~?」

「い、一体何を…?」


「———かるた中クチバさんが喋ってた、ってこと!」


「やめて!!!!【朽葉】の話しないで⁉うわああああああ‼」

頭を抱えて叫ぶ苣!

「ど、どうした…?」

「苣大丈夫⁉」


その様子を面白がったリーヨウは、耳元で

「二重人格」

「あ、あああ…思い出したくもない、黒歴史…」


苣がここまで『人格』に過剰反応する理由を

ワタシが覗きに行く。



宮廷勤め時代の苣。


周りから孤立し、陰鬱なオーラを放っていた当時…

「…今の私は『トウ』。コイツが表に手ている時以外、

そう呼んでくれ」


鏡に向かって、独り芝居をしていた。

「……ああ、やっと『悼』の人格が引っ込んだわ!

私の身体で好き勝手やるの、困っちゃ~う」


その顔はパッと『悼』の顔になり、

「苣の…この肉体にも、大分慣れてきたぞ。」

中二病台詞を吐く。


机の万年筆クチバが、小刻みに震えていることに気付かずに。



戻ってくると、苣以外の三人が腹を抱えて笑っていた。

ネイに関しては霙の袂をぎゅっと握っても、笑いをこらえきれていない。

「~~~~っ【朽葉クチバ】!!!!//

【苣、やっぱ貴方さいこう…w今思い出してもしぬww】」


どうやら、【朽葉】がすべてをバラしたようだ。


宮廷書記官らしからぬ可愛い遊びに、ワタシも笑顔になった。


【花畑リベンジの直前】

「とっても似合っておりますお客様🥳💐」

「うええ…?この国ってこんなきっちりした服着るの?」

「ええ、一部の職業で👏😌」


賑やかな語尾、タキシードでキマった苣の姿。

【いつもダボダボな恰好してるあの苣が…!新鮮~】と【朽葉】は満足げだが…


「…いやっこの服必要ある⁉」


苣の叫びにネイが解説する。

[大いに必要あるぞよ、

あのヤサシ草おとめたちはこういうジェントルマンが好みだ]


「【このほっそい身体にタキシード、似合うと思ってたんだよ~

見れてよかった~】」


【朽葉】が苣の声で苣を褒める様子に、

「自分自身を褒めることは素晴らしいことなのですよ!😊お客様!😆💕」


と感激する店員。

店員はなんと楽園のはなばたけに向かうに当たっての準備を、

手伝ってくれているのである。

喋る花ネイ含めすべての事情を受け止めて、協力してもらえるとは有難いことだ。


「……///」

「良かったじゃん、二人に褒められて」

照れる苣の肩を、ルーがポンと叩く。


ルーにはオールバックに褐色の肌、明るめのベストがよくマッチしている。


[おお…アディルも格好良いぞよ]

「ネイは喋りかけないで。」

この通り、我儘な成人男性ではあるが。


「おー…なんかお前ら、別人。

ルーと苣だよな…?」

続いて、霙。

[霙…!顔が良いため破壊力が凄まじいぞよ…!]


普段の着物からのネクタイはギャップである。


ネイにはそれが好みだったみたいだ。

その時。


「待たせてごめん!」

三人と一輪は非常に驚いた。


なぜなら試着室から出てきた姿は、一番のギャップだったのだから。

なびくポニーテール、手袋をキュッと付けるリーヨウがそこに居た。


「リーヨウたん…それ」

「ん?どうしたのかな?」

心なしか佇まいまで大人びている。


なんとスマートな…普段の無垢な姿からは想像できない。

「めちゃくちゃかっこいいよリーヨウたん…!」


【苣の読み聞かせ】

喋るより書く方がずっと得意な苣。


そんな苣も、『語り』に力を入れる時が来たのだ。

自ら選んだ、『童話読み聞かせ作戦』で。


有難いのか厄介なのか、

シダレは興味津々でご清聴。

「…大ぐまくんと子うさぎたち」



ある森の ある橋を、おなかをすかせた大ぐまが歩いていました。

家に かえるところだった赤いリボンのうさぎは、

「こ、このままじゃボク丸のみに…!」

と青ざめます。

一本道で すれ違うことができないので、とうとうぶつかるというところで

「おっとぉ。ごめんな、小さくて見えなかったぜ」

後ろにどすん!と下がってくれたのです。


赤うさぎの あんしんもつかの間、

「そういや俺、空腹なんだったな」

「ひい…!」

大ぐまのギラリときらめく目に 見降ろされ、

「あああのっ!!この後橋をボクなんかよりずっと大きくて可食部の多いうさぎが通るので!そっちのほう食べたらいいと思いますよ~!」


はやくちで 言いました。

「お?おまえもそいつも食べていいってことか?」

「違う~っ!ボク食べた気しないくらい痩せててちびっこなんで…」

「まぁ朝一番の飯は美味い方がいいってもんだ。ソイツどんな感じだ?」

「見た目で言ったら~…緑のベストで、眼鏡かけてる奴です!」


赤うさぎは 同族を売るスタイルのようです。

大ぐまは すなおで鈍感だから、そのことばを信じました。


さっそく 橋を渡りに、緑のベストのうさぎがやってきました。

「帰ってはやく 朝食を…ってええ⁉背ぇでっか‼」

「おまえ、この赤リボンより食べ応えがありそうだ」

「そんなぁ…!」

すぐ逃げようと走り出しましたが、

「足じゃ俺には勝てねぇぜ。あきらめな」

すぐに首根っこを掴まれます。緑うさぎはたまらず、


「待ってください~!ええと、私より肉付きがよくて

その~~とにかく上質なうさぎです!!」


べんめいを 試みました。

「んだ、そのふわっとした説明。」

「具体的には、青い袴にむすっとした顔!」

大ぐまは すなおで鈍感だから、そのことばを信じました。


続いて 橋を渡りに、青い袴のうさぎがやってきました。

「おかあさん迎えに来るって…あれ、でかいのが居る」

「おまえ、俺に食われる気ぃ無いか?」

「ふつうにやだ……」

青うさぎは 大ぐまの牙だらけな口をおそれ、

「…おい、そこのうさぎ。黙ってないで助けろや」

めいれい口調で 助けを求めました。


「みんなー!遅かったけど大丈夫?」

「「「おかあさん!」


橋の向こう、家の方角から、おかあさんうさぎが駆け付けました。


「ちょうどいい…!体格良いのが来たじゃねぇか!」

やって来た えものに目を光らせ、牙をむいておそいかかる大ぐま!


「母パンチ!」「おごッ⁉」

ボディーブローをお見舞いされ、返り討ちに。

「空きっ腹にパンチ…」

「泣きっ面にハチ、ならぬ…上手いなお前」


「…おまえ、腹減ってるの?なら家おいで。」

大ぐまくんは うさぎたちの家に招待され、


おかあさんうさぎ とくせいの、

はちみつたっぷりパンケーキを

頬張ったのでした。めでたしめでたし。



ちなみに読み聞かせは

ワタシも大いに気に入った。ナイス苣。


【担々団体の休日】

[アナタ達っていっつもそうなのですか?]


会議机。皆してパソコンに向かう担々団体に、ヤサシ草のヤサ姉が問う。

「と、言うと?」

[絶え間なく出稼ぎにゆき、一仕事終えたら次、と

稼ぐことばかりですわ]


それを聞くと、手を止めて顔を綻ばせるルー。

「大丈夫だよヤサ姉」

[心配してくれるとは、珍しい]

[失礼ですねっ!!!わたくしにも心配くらいさせなさい!]


「…取り敢えずオレの懐で怒鳴んのやめろや」

[あ!朝の星座占いの時間ですわ~!]

「聞けや…」


こんな調子で、ヤサ姉は良い仲間となってくれている。


「【まぁ、休みなく働いてたのは事実だねぇ】

気分転換にどっか行く…?

【家にこもってたい心がだだ漏れだよ苣~】」

「ん~俺も、家でゆっくりがいいな」

「はい!ボク!マリカやりたい‼」

「久々に…いいかもな。」

[前回は霙、惨敗だったからな]

[ちょっと何それ!わたくしも混ぜてくださいな!]


【べラントとスタア】

「ボス、あとは頼んだ…!」

「はいはい。世話の焼ける部下め」


スターアックス店内。

二つ結びの店員を確認し、すぐにルドの背後へまわるべラント。


というのも、彼はロングヘアが極めて弱点。


ロングヘアを前にすると一瞬で顔が紅潮し、まともに話せない程だ。

しかし甘いものは摂取したい…!

そんなべラントの要望を叶えるべく、多忙なボスが付き添いに。


店員の髪が長いと即アウトなので、どこの店にも同伴者が必要らしい。


まったく、面倒な体質だ。

「はい。チョコチップキャラメル フラペチーノinチョコレートソース。」

「助かったぜ…!久々の甘いものだ♪」


「おまえはついで。今日は取引先の方が来るの。

営業班、始動できるな?」

「えっ」

甘いものを堪能していたべラントが固まる。

「それって…その…」

「ん、社長は短髪。気にせず契約取り付けてこい」

「ふ~良かった…」


「失礼していいかな?」

早速その社長が来たみたいだ。…その隣は――

ハーフアップの秘書が丁度、べラントの相席に!

オシャレな丸テーブルなので逃げ場は無い。


(おれの下調べ不足…悪い)

(ボス…!!!!ボスは悪くないぜ!

ロロロロングなんざ直視しなければどうってこと…)

「まずは、握手を」

(ひええええええ!!!)

全力で手汗を拭き、相席どうしで握手を交わす。


「あ~ええと、わたくしルドラッシュと申します。

こちらが営業部長のべラント……」


結局その日は、ぜんぶルドが喋ることになったのである。


        〇ー♢ー〇ー♢ー〇ー♢ー〇


【設定裏話】

・ヒダネさん、当初は「指から火炎放射が出る」という設定だったが、

強すぎるので却下。


・霙の「一口ちょうだい」は、戦時中で食事もままならず、「食えるもんは食っとかなきゃいけない」という過去からできた設定だが重いので割愛。


・アディルの性格は、「頭良くて仲間も守れてみんなを気遣える」だったものを

「自己愛と心配症」に変えた。頭も悪くなった。


・ルドラッシュの物語も「スピンオフ」として執筆するである。


        〇ー♢ー〇ー♢ー〇ー♢ー〇


【キャラ詳細】

苣「台所・経理」

霙「部屋と廊下の掃除・在庫管理」

アディル「風呂トイレ掃除とゴミ捨て」

リーヨウ「洗濯干しと洗濯たたみ」

ネイ「テイネイ草・みんなの頭脳」

ルドラッシュ「リヴェルダ家の子供・ボス」

ミルゼシア「ルドの従姉・作戦部長」

ブロッサム「ルドの護衛・親友」

コルク「ルドの補佐・親友」

キッズ1「敬語・三人のまとめ役」

キッズ2「ねっとりした口調」

キッズ3「かっちりした口調」

カミヤ「先輩が心配な後輩」

ツツミ「心配される先輩」

イベト「ヤッバイ奴」

シャム「イベトの部下・信者」

使用人「丹端家の従者」

丹端羽祐たなばたうゆう「丹端家主人」

丹端そう「長男」

丹端しん「次男」

丹端みこと「長女」

宮嵜筈木みやざきはずき「丹端の上司・妻の不倫相手」

ブティック店員😎「独特な語尾」

テスター「父・下衆野郎」

タスク「妹」

ノルマ「姉」

センス「ポピーブラザーズjr」

ラグ「大声・馬鹿力」

フロー「カリスマ性」

スーツ軍団たち「レーザーガン・エリート()」

しょう「苣のストーカー」

ギリヤ「口悪医者」

ルーズ「クズ上官」

スタン「スナイパー・国王軍兵士」

ベラント「悪になりきれない悪・ロングフェチ」

ヤサシ草たち「高飛車」

アズマ「ビビり・優しい爺さん」

シダレ「孫と読む絵本大好き爺さん」

ヨシノ「お見通し婆さん」

サノザ「気難しい・涙もろい爺さん」


        〇ー♢ー〇ー♢ー〇ー♢ー〇


工場の内部まで足を進める担々団体。

アディルとリーヨウに足止めを頼み、走って行く霙・苣。

「…チッ。追っ手が早ぇ。

お前ひとりで行けるか?」

「うん、頑張る」

振り返らず、苣が駆け出す。そして大きな歯車たちを前に、


「お願い、【朽葉クチバ】!」


――【名前】を呼んだ。

「【りょーかい】」


ガシャン!

ガガガガガ…

枯れ葉を挟めて、物理的に歯車を狂わせる。


「任務完了、だね!」




…ワタシの語る物語は、これで本当に最後だ。

ワタシは…っその、

キミが納得できるように"伝える"のがとても、苦手で。

きちんと語ることができたか、未だ不安である。


だがワタシの、


傍目ハタメ】の言葉が


キミに残り続けるなら、なんだか、嬉しいような。

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汁なし!担々団体 りた~伝説のちくわ~ @rita2299

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