第6話 祖父と孫

 匡さんの喫煙時間は意外と長い。薬だから仕方ないが、浩のこともあるからそろそろ出発したいところだ。

 導さんに確認したところ、紫音は浩の体を見つけたようで、先に体を保護しに行ってくれたようだ。匡さんなら中級悪魔を二体相手しても大丈夫だと判断したのだろう。

 場所も確認済み。ナビで近道も調べたことだし、匡さん達の所に戻ろうかな。

「匡さん、紫音が浩の体を保護してくれているみたいです。そろそろ出発しましょう」

「おー、わかった」

 煙管を片づける匡さんの横で、うずくまっている浩を見て、僕は匡さんに小声で問いただした。

「浩になにしたんですか!?」

「別に。ちょっと人生相談に乗ったっつーか、原因は九割ぐらいお前だからな」

「僕ですかっ!?」

 意外な答えに思わず声が上擦った。僕が原因ってなんなんだ。

「できすぎる親も持つ子供の悩みってやつ? 平凡な自分にコンプレックス持ってるみたいだぜ、おじいちゃん」

 思わず言葉が詰まった。確かに僕も子供も人並み外れた仕事を生業なりわいにした。だけどそれを浩に強要したことはないはずだ。ただ自分の納得のいく人生を送れとは言ったかもしれないけど。

「お前のことは伏せてるから安心しろ。だけど、浩に上手く伝えといた方がいいんじゃないか」

「歩きながら話します」

 浩を体に戻すまでに、話せるかぎり話そう。僕は俯く浩に声をかけて、ゆっくり立ち上がらせた。

「仲間があなたの体を保護してくれてるから、行きましょう」

 悪魔が寄ってくる前に。と付け加えて、僕たちは歩き出した。

「あなたのおじいさんについて、少し話をしない?」

 紫音が待つ場所までそう遠くない。短い間で、僕は浩にどれだけ自分の思いを伝えられるだろう。

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