「人を愛すること」の本質を教えてくれる秀作

両性愛者で、恋愛=セックスという刹那主義的価値観を持つ「総務課の沢渡くん」こと主人公の沢渡健は、同じ部署に配属された年上の男性・日野さんと出会い、恋に落ちる。日野さんにはすでに同棲中のパートナーがいるが、それでもお構いなしとばかりにガンガンにアタックする沢渡くん。日野さんを我が物にするまでの道のりは険しく、激しく恋心を燃やしていく次第に、沢渡くんは「人を愛することとは何なのか」という命題に直面します。

沢渡くんの絶妙な心の変化から、人間愛というものについて一途に考えさせられる作品です。同性同士の恋愛は一般的な男女のそれよりも想いの結びつきの純度が深いのか、愛の営みはため息をつきたくなるほどにエモーショナルで、それ故に登場人物たちの感情がぶつかり合うシーンは火花を散らすように激しく、独特の読み応えがあります。

性別や年齢はもちろん、性的指向によっても受け止め方が変わる作品ではないかと思います。恋と愛は似て非なるもの。ぜひこの作品を通じて、その両者の在り方について考える時間をつくってみてはいかがでしょうか。

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