この世を支配する悲しみのルールに立ち向かう力をくれる物語

世界の理は時に残酷で、運命に抗えない自分の無力さが呪わしい。そんな絶望に取り憑かれた主人公がクラスのマドンナである綾とひょんなことからお近づきになり、徐々に希望を取り戻していくまでの過程を描いたハートフルストーリー。

丁寧かつシンプルに綴られた主人公の情動、一歩踏み出しきれないもどかしさは共感するところが大きく、何より綾のミステリアスな人間像と詩的な言葉選びが蠱惑的で、物語を追えば追うほどそのどこかほろ苦くも優しい世界観に惹きつけられます。

主人公とヒロインの関係性が時間の経過とともにごく自然と形を変えていく様は特に見ものです。精神的に未熟だった二人の少年少女が、この世に根付く絶望のルールに抗うべく物語の果てにどのような選択を取るのか、ぜひお見届けください。