「設定盛りすぎなのに、ちゃんと走っている」というのが非常に楽しい

情報量と熱量で殴ってくるタイプのガチ系VR×TS×格差社会SFでした。

①リアルに侵食するゲーム世界
②兄妹バディの軽妙な会話
③女体化という不可逆に見える変化への強烈な拒否感
この三本柱が非常に強いです。

特に「ゲームで死ぬ=現実でも死にうる」「レベルとアイテムが現実に持ち帰れる」という設定が、単なるVRMMOではなく現代社会の歪みを増幅させる装置として機能しているのが印象的でした。

TS作品でありがちな「はいはい可愛いですね」で終わらせず、
プライド
自己同一性
徐々に変わることへの嫌悪感
をしっかり言語化している点は高評価です。

「最初から完全に性転換されていたなら諦めがついた」
この一文が、この作品のTSテーマを象徴しています。
“変わること”より“変わっていくこと”の残酷さを描けているのは強みです。

「設定盛りすぎなのに、ちゃんと走っている」というのが非常に楽しいです。


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