このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(503文字)
この物語は現代ドラマですから、もちろんエルフなんて存在は出てきません。ですが、主人公である樹木医の目を通した樹々の悲哀を読み解いていく内に【森と共に何百年も生きる存在であるエルフとはかくありき】と、エルフの解像度が上がるように私は思いました。植物、樹々という偉大な存在と、人間の小さな損得勘定の為せる罪。私たちが普段気にとめる事のない人間の身勝手な所業にも気づかせてもくれますし、読者を引き込む確かな筆致も素晴らしい作品です。是非ご一読頂きたく思います。
樹木医という馴染みのない業界のお話でしたが、第三次産業とはつまり、心を切り売りするお仕事なんだなぁと勝手に納得してしまいました...。短く、読みやすく、しっかりとした読後感があり大満足です。他の作品も読んでみたくなりました。
この天川先生を、かっては、男性作家だと、かってに、思い込んでいたこの私ですが……。イヤハヤ、こう言う純文学的小説を書かれるとは、この私に、推理小説やエロ小説を薦めて下さった、かっての同人誌の編集局長に、感謝するしか有りませんよね。この私に、このような、緻密で繊細な作品は、絶対に書けませんので。でも、天川先生の最高作品は、多分『この身体は誰が為』 → 貧乳の話ですよ。このような傑作を読むと、「朝に道を聞かば、夕べに貧乳でも可なり」、の心境になります。短編ですが、一読の価値ある作品です。是非、お勧め致します。
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