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 早くも限界がきていた。

 しかもそれが本人にバレバレだったみたいで「したらいいよ」とロウみたいな対応をされてしまった。

 でも、もうしておきながら言うのもアレだけどはっきりとしない状態でこういうことをやるのは本当によくないと思う。

 だからっ、頑張って告白をしようとしているのに立ち上がろうとする自分が出てこないのだ。


「そこまで求めているんだから早く言ってあげなよ」

「そ、そうなんだけど……ドキドキして落ち着かないんだよ」

「仕方がないな、はい」

「わ、ちょ――」


 くぅ、催眠術みたいに抵抗しているときは簡単にワープさせたりできないようにしてほしいところだ。

 更に今日は目の前ではなく直接小屋内に飛んでしまったから「おわ、びっくりした」とアンを驚かせてしまったみたいだった。

 あ、別に飽きて帰ってしまったわけではなくて私といるとすぐにくっつきたくなって邪魔になってしまうからとアンの方から考えてくれたのだ。

 私からすれば好きにくっついてくれていればよかったけどね。


「あ゛、ア゛ン゛」

「お、落ち着いて?」

「んんっ――アン、聞いてほしいことがあるの」

「うん、ちゃんと聞くよ?」


 もうここまできたら言うしかない。

 なんてことはない、全て本当のことを伝えるだけだ。


「わ、私はね、ちゃんとそういう関係になってから抱きしめたりしたかったの。だって曖昧な状態のままあんなことばかりしていたら気持ちを弄んでいるみたいになってしまうから。だからね、今日いまから――」

「なち好きー!」


 え、あ、ちょ、……私が好きだって言ってからでよかったような……。

 ここからどうすればいいのか、だってまだなにも吐けていない。

 よほどの鈍感さんでもなければいまので告白をされるとわかるのは確かなことだけど、告白をしてきたときといい彼女もやってくれるものだ。


「と、とにかく、私もアンのことが好きだから!」

「うん、だけど本当にいいのかな」

「こ、ここで冷静になるのはやめてね」


 心臓に悪いからね。

 これなら言ってくれたあの日に受け入れておくべきだった。

 ただ? 魅力度的に告白をされる側ではなくてする側にしかなれないからこの形はどんなに頑張っても変わっていなかったことになる。


「ほら、梨菜が――」

「僕のことなら気にしなくていいよ、なちに本命ができちゃったんだから仕方がないんだよ」

「あ、ほら!」

「まあまあ、それよりおめでとう」

「あ、ありがとう……」


 放課後でよかった。

 落ち着かないときは紅茶とかコーヒーを飲んでゆっくりするのがいい。


「ちょ、まさかまちちゃんアンにしたの?」

「はい」

「うわあ、そこは梨菜助でよかったのにもったいなあ」

「そこっ、なにか不満でもあるのか!?」


 言われた本人としては気になるよね。

 この件に関しては梨菜がなにも動かなかったことが全てだ。


「だってアンって年寄り――いや、可哀想だから言わないであげておこう。なちちゃんがアンに決めたのならそれでいいよね、おめでとう」

「あ、ありがとうございます」


 やっぱりそうなのか、もう三百歳とかだったりするのかな?


「ロウ助はもう知っていたの?」

「うん、一方通行かと思ったけどなちの中にも強い気持ちがあって驚いたよ」

「そっか。ということは私、ちょっとなちちゃんに意地悪をされた感じかな?」

「そ、そういうわけでは」


 ふらふらっと今回みたいに来てくれたときは話せるけどそうではないときが多かった。

 というか、途中なんか静さんに懐きすぎってアンに文句を言われていたぐらいだけど……これも仲良くなれたからこそのからかいなのだろうか?


「そうだっ、静がふらふらしているのが悪いんだよっ、教えてもらいたかったらもっと私達の側にいるべきだよ!」

「ふふ、寂しいんだ?」

「そりゃ静だって友達なんだから寂しいでしょ」

「ありゃ、大人になっちゃったなあ」


 前の梨菜みたいに感情的にはならず「元々年上だからね、静なんて私からすれば赤ちゃんみたいなものだよ」と余裕そうだった。


「ばぶーはは、それならゆっくりしていこうかな。なちちゃんぎゅー」

「な、なにをしているのさ!」

「アン達の側にいるのがいいんでしょ? だったらこれぐらいは許容しないとね」

「それは駄目!」


 静さんは深く求めてきているわけではないけど静さんに抱きしめられたり、アンに抱きしめられたり幸せ者だ。


「はぁ、アンがうるさい、太郎ちょっと止めてきてよ」

「でも、楽しそうだからね」

「結局ご主人様が全てってわけ?」


 だけどそこは仕方がないと思う、アンのおかげでこうして喋ったりできているわけだからその差は大きい。


「梨菜こそなちに好意があったくせに僕に興味を持っているみたいなふりをしていたのはおかしかったよ」

「そんなの勝手な妄想でしょ」

「本当?」

「……ま、先手を打ったアンに負けたってだけだよ」


 ちょ、向こうで気になる話をしているのに参加しづらい。


「梨菜ならなちのこと自由にしていいよ」

「馬鹿言わないの、それに僕が奪おうとしているみたいで嫌だよ。いいからアンはなちと仲良くしておけばいいの」


 ここで乗っかれるならこうはなっていないという話だ。

 もういまとなってははっきりとした後だからこの件に関しては特になにも言えない。


「えっと……ありがとう!」

「はは、どういたしまして。なち、コーヒーおかわり」

「うん」


 少し変わってしまったこともあるけど変わっていないことだってちゃんとある。

 だからその変わっていないこの緩くて暖かい雰囲気でいられるこの時間を大切にしてきたいと思ったのだった。

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186 Nora_ @rianora_

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