ゆびきりげんまん

はるむら さき

ゆびきりげんまん


「やくそくね。うーそついたら、はりせんぼん、のーます。ゆび、きった!」

子どもの頃。日が暮れて家に帰る時間になっても、なんだか遊び足りなくて「ばいばい」の前にした、なんてことない約束。

それは「またあしたも遊ぼうね」っていう、お別れの前にする決まりきった挨拶みたいなもので、次の日には誰と何を約束したのかも思い出せないくらい当たり前の事だった。


「ねえ、覚えてる? 私との約束」

あの日の私がどんな約束をしたのかは、こんな時になっても思い出せない。

でも、誰とゆびきりしたのかは十年以上たった今になって分かった。


ゆびきりしてはいけないモノ。

約束してはいけないモノ。


「ゆびきりげんまん。うそついたら、はりせんぼん、のーます…」

「ゆびきった」


次はあなたの。

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ゆびきりげんまん はるむら さき @haru61a39

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