第5話
俺は通話を抜けた後一人でするのもなぁと思い、布団にもぐり眠りについた。
その日の朝、綾乃からメッセージが届いていた。
[昨日寝言とかで変なこと言ってなかったですよね?]
[なにも言ってなかったし、俺もあの後寝たからなぁ]
[ならいいのだけど...]
どうやら自分がなにか変なこと言ってなかったかを確認しに来たらしい。
[まあ、強いて言うなら俺の名前を呼んでいたくらいかな]
そう返信すると既読はつくものの、返信は帰ってこなかった。
「さてと、俺も準備するかな」
俺も出かける準備をする。今日は妹の桜の見舞いに行く日なのだ。
「手土産なににするかなぁ...」
やはり無難にフルーツか?
そんなことを考え、スーパーに寄り頼まれたものとフルーツ詰め合わせを買って行った。
病室の前につき、扉をノックする。
「桜ー来たぞー」
そう告げ、扉を開ける
「お兄ちゃんいらっしゃーい」
「調子はどうだ?」
「うーんぼちぼちかなぁ」
そんな会話をしながら買ってきたものを桜に渡す
「それと、これは見舞いだ」
フルーツも渡す
「おー!ありがとねー!」
その時部屋に桜の担当医が入ってきた。
「隼人さん少しお話が」
俺はまさかな。と思いつつ医者の後をついていった。
「今ご両親と連絡取れますかね?」
「多分取れます」
そういいつつ父親に電話をかけた。
『隼人どうした?』
父が電話に出た。
「桜の担当医が話があるってさ」
『今からそっちに向かえばいいのか?』
「いえ、このままで結構です。今日はあくまで話だけですので。」
そうして医者が話し始めた。
「なるほど...適合するドナーが見つかった...と」
『つまり、手術をするかしないか話してくれということですかね?』
「はい。特に桜さんの意思確認ですね。手術すれば完治の可能性は高いですが、失敗した場合、大幅に余命が短くなる可能性もあります。」
『分かりました。ともかく一度桜と話してみます。』
医者と別れ、桜の病室に戻って来た。
「桜、手術すれば完治の可能性が高いらしいがするか?」
「治る可能性があるならする!」
『本当にいいのか?』
父が確認する。
『可能性低いが、死ぬ可能性もあるんだぞ?』
「私だって怖いよ。でも、みんなと同じように暮らせるなら頑張る!」
『そうか。分かった』
桜は強い妹だ。それを改めて認識した。
灯火は消えて、残り続ける 水無瀬皐良 @sara_minase
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