概要
人が人を裁くことは、傲慢か。
K県立浜市で市議会議員の連続失踪事件が発生し、県警察本部は市議会から極秘依頼を受けて議員たちの護衛を任される。公安課に所属する新宮時也もその一端を担うことになった。謎めいた失踪が、やがて汚職事件や殺人へ発展するとは知る由もなく——。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!神と代行者の使命を描く静謐で緊張感ある序幕
<序幕を読んでのレビューです>
物語は、公園にひっそりと建つ古い教会の内部から始まる。二人の男、神の意志を代行する者と、その使命を受け取る者の対話が淡々と描かれる。世界の滅亡と再生、生命の舟としての地球、そして神の裁きという大きなテーマを、静かな教会の空間に落とし込み、読者は自然と緊張感の中に置かれる。会話のリズム、間合い、そして教会の湿った空気や光の描写が、場面のリアリティを増している。
個人的に印象的だったのは、ローブの男が紙を広げて罪人の名を読み上げ、「彼らが、哀れな罪人たちですか」と問いかける場面である。ここには、単なる使命の遂行以上の重みがあり、代行者としての葛藤と神への忠誠が…続きを読む