少女は世界を癒す! ……その裏側の切なさも、ぜーんぶ花と光で!

舞台は、天地を灰に包まれた世界。
草木を操る力を持った少女・タネが、灰人を斬る無敵の侍・残花と共に旅立ち、各地にある御神木を癒やし、灰の世界を光溢れる世界に蘇らせていく物語。

――というだけでは終わらない! というのが、正直な感想です。

物語は、明るいタネの軽快な口調で進んでいきます。
各地を巡り、そこで出会った人々の悩みや苦しみを聞き、タネは成長していきます。
そして、その地の御神木を復活させ、お祝いのお祭りへ!
それぞれの地方、特有なお祭りもまた、見どころ!

文章に、ワクワクするリズムがあります。
読んでいるだけで、タネと一緒に旅をしている気分になります。
また、山なら山、海なら海、と。その地ならではの風景や出来ごとが自然に描写されていて、私が読むのは一瞬だけれど、作者様は相当な下調べをされているのではないかと感じました。

……ですが、それだけでは終わらないのです。

タネの旅の相棒、残花。
冒頭で、「世界を癒やす旅をするために、タネを迎えに来た」という感じに登場するのですが……謎めいています。

タネが表の主人公なら、残花は裏の主人公。
タネが光なら、残花は影――ならぬ灰?
彼の秘密が、この物語の鍵ではないかと思ます。

この灰だらけの世界。
二人が力を合わせると、どんな新しい「天地創造」がなされるのでしょうか。

現在、第七章完結。あとは最終章を残すのみ。
最終章開始は今秋だそうですので、今から読み進めると、リアルタイムでラストを迎えることができます。

冒頭から示されている、「桜は、必ず散る」という、非常に気になる文言を胸に、一緒にラストシーンを読みませんか。
お勧めです!

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