第15話:養子を取る?取らない?

俺たちが驚いてしばらく落ち着いたあと、村長は、ゆっくり話し始めた。


村長(ユーラ)「驚くのは、無理ないじゃが、お主らは、養子を取る気はないか?」


アリス「はあ?苗字なしが養子を取れるわけないじゃないですか…。そうだよね、お母さん?」


お母さん(マリア)「そうわよね。どうやって、養子を取るの?養子になる子ってセシラちゃんかな?」


村長(ユーラ)「養子になる子は、セシラちゃんで大丈夫なのじゃ!そして、苗字の問題は、セシラちゃんの苗字をお主らが新しく登録すればいいのじゃ!」


アリス「…。その手があったか…。」


村長(ユーラ)「フッフッフ…嬉しいじゃろ?義理じゃが、その子が妹になるのじゃ!」


アリス「いや、でも罪悪感が…。」


村長(ユーラ)「罪悪感?何それ、おいしいの?」


その言葉に俺は冷ややかな視線を送っていた。他の人は、一瞬意味がわからない感じだったが、その少し後に察したようで、アリスさんはため息をつきながら、村長に話し始めた。


アリス「あの~。村長さん、ふざけるの止めてもらっていいですか?何でそのセリフを言ったか知りませんが…」


村長(ユーラ)「…。わかったのじゃ!とりあえず、罪悪感は、セシラちゃんの苗字をお主らが作ったということにすることじゃ?」


アリス「はい、そういうことです。それなら、セシラちゃんに私達を養子にしてもらったほうが良いんじゃない?」


村長(ユーラ)「それは、無理じゃ!まだ来て間もない異世界人に養子にしてもらうのは無理じゃ!それに、セシラちゃんは、その苗字に愛着はないじゃろ?」


俺「そうですね。これは神様からもらったものなので…。」


村長(ユーラ)「それじゃあ、決まりで良いじゃ?」


お母さん(マリア)「はい、大丈夫だと思います。」


マリアさんは、アリスさんとミリスちゃんを少し見て言った。


村長(ユーラ)「それじゃあ、変更後の名を言うのじゃ!」


村長(ユーラ)「まずは、お主!ミリス・セイクリッドじゃ!」


ミリス「はい、ありがとうございます!お姉ちゃんと苗字一緒!嬉しい!」


村長(ユーラ)「次はお主!アリス・セイクリッドじゃ!」


アリス「ありがとうございます。」


村長(ユーラ)「次は、お主。マリア・セイクリッドじゃ!」


お母さん(マリア)「ありがとうございます!」


村長(ユーラ)「これで、終わりじゃ。アリスが長女、セシラールが次女、ミリスが三女でいいか?」


俺「私は、大丈夫です。皆さんはどうですか?」


アリス「うん、それが適当かな?身長的にも精神年齢的にも…。」


ミリス「セシラお姉ちゃんだから、私の妹になれないから、これがいいと思います。」


村長(ユーラ)「同意が得られたのじゃ!お母さんとアリスは、かえって…まだじゃ!」


アリス「ん?どうしました?まだ何か用事がありますの?」


村長(ユーラ)「国王の謁見の件で話すことがあるのじゃ。」


マリア「私達は、夫が国の重要役だったので、それの遺品の引継ぎで8年前に呼ばれましたが、次は何ですか?」


あれ?やっぱり夫は失くなっていたの?少し前に謁見したことがあったから、国王の人間嫌いを知っていたのか…。そういえば、俺って大丈夫?人間に見られてるから、殺されそう…。万が一、俺を吸血鬼と気づいても、殺られそうな気がする。吸血鬼って多分魔族だから、魔族って嫌われてるよね?


村長(ユーラ)「今回は、お主のための謁見じゃ!セシラちゃん!」


そう言って、ユーラさんは俺の方を指さした。


俺「えっ!私?まあ、わかってましたけど、何でですか?」


村長(ユーラ)「フッフッフ…それは…お主の報告と国民票の正式版の発行をしてもらうために行くのじゃ!転生者は、全員報告しないと行けないからなのじゃ!」


俺「あ、はい。分かりました。でも、ミリスちゃんたちが行く理由は、なんですか?」


村長(ユーラ)「ん?付き添い人じゃ。王都に入るには、仮国民票だと付き添い人が必要なんじゃ!」


俺「それでも、こんなにも人数必要なんですか?」


村長(ユーラ)「フッフッフ…念には念をじゃ!こんなにいても問題なかろうじゃ!」


俺「アハハッ。まあ、そうですね~。」


俺は、ユーラさんに少し呆れて、気づいたら少し笑っていた。


村長(ユーラ)「ミリスちゃんたちも大丈夫じゃ?」


ミリス「大丈夫です!お姉ちゃんと一緒に行ける!」


アリス「はい、大丈夫です。でも、母は無理だと思います。」


村長(ユーラ)「そうじゃの~。母親は、連れて来なくてもいいのじゃ!お主らだけで来い!わかったのじゃ?」


アリス「はい、分かりました。ありがとうございます。これで失礼します。」


村長(ユーラ)「日時が決まり次第、家に訪問するのじゃ!覚えておくのじゃ!」


アリスさんはユーラさんに礼をしたあとに、マリアさんを背負って、家の方に歩いていった。


――――――――――――――――――――

〈あとがき〉

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聖夜の吸血鬼 藍川蒼霧 @uhkt3w

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