小野塚作品の原点
- ★★★ Excellent!!!
小野塚さまの作品群は緩やかにつながっていて(実は氏の作品外ともつながっていて!)、それに気づくと、駄菓子のおまけみたいで嬉しいのです。
『猫魔岬變』より始まる猫魔岬の一連の物語を読んでいたとき、『祟神祓顛末』に国森顕子なるミステリアスな女性が登場しました。誰? と思っていましたが、彼女こそ、本作の主人公のひとりでした。
本作は小野塚作品の原点となる作品ですが、すでにスタイルは確立しています。簡潔かつ品格の漂う表現、意図的に用いられた難漢字、シーンごとに変わる視点。それらと、視覚的にも美しく整えられた文章の魅力が相まって、物語が幻想的に浮かび上がってきます。
なかでも本作はスケールが大きく、新たな神話の誕生に立ち会っているかのような厳かさに満ちています。おすすめの一作です。