第28話 ダンジョン

 翌朝、ギルド内にて


「そういえばスミス様、アレックス様。この街の近くにダンジョンがあるのをご存知でしたか?ただいま魔石が不足していまして買取の強化を行っているのですがどうでしょう?ダンジョンに潜ってみては」


 えっ!?この街ダンジョンがあるの?てっきりこのギルドで全くダンジョンがどうこうみたいな話を聞いてこなかったから無いものとばっかり思ってたんだけど!


「アレックスアレックス!僕ダンジョンに行ってみたい!」


「俺もだスミス!何だったら今からでも行こうぜ!!」


「名案だよ、そうしよう!...所でそのダンジョンって持っていった方がいいものとかって何があります?」


 危なかったぁ!

このままアレックスに流されて何の準備もないままダンジョンに挑みに行くところだったよ!僕たちダンジョンに行くの初めてなんだからしっかり何がいるのか聞いて準備しないと!


 必要なら昼までにできる依頼をパッ、と片付けて昼からダンジョンの準備でもいいし。


「でもよスミス。俺たち全然金ないぜ?それこそ毎日その日暮らしで生活してるじゃねぇか」


 ウグッ、確か、に,..。


「それでしたら大きめのリュックのみをダンジョンに持ち込んではいかがでしょう?本格的にダンジョンに潜るならば食料や暗い階層用に松明、火打石、マッピングツール等々が必要になってはきますが一、二階層については壁に生えている光石がダンジョン内での松明の役割を果たしていますのでいりませんし入口から近い場所であればマッピングツールも食料もいりません」


「それいいですね。で、魔石を収集した後に入れるリュックさえあればいい、と」


 それなら何の準備もなくダンジョンに潜ることが出来るね!


「ちなみになんですけどその光石?っていうのは採取して持って帰ったら売れるんですか?」


「いえ、光石はダンジョンの元を離れると光らなくなりただの石になってしまう事から需要が全くなく当ギルドでは買取をしていません」


 あぁ、そうなんだ。じゃあいいや。


「ちなみにそのダンジョンの一、二階層ってどんな魔獣が出てくるんだ?」


「一、二階層ではゴブリンが主に出現すると報告を受けております。ただゴブリンは採取できる魔石の大きさが小さく純度も低い為に買取価格がどうしても安くなってしまいます」


「じゃあおすすめは?」


「当ギルドでは五階層にて出現するオークを狩猟する事を推奨しております」


 うーん、オークってどれくらい強いんだろ?何となくちょっと前に戦ったフォレストウルフと比べたら、どっちが強いのかな?


「ちなみなんですけどフォレストウルフとオークだったらどっちの方強いんですか?」


「それですと...、個体差にもよりますがフォレストウルフ三体でオーク一体分とお考え下さい。ただしこれは耐久力や力等を総合的に評価してのものとなっておりますので素早さ等はフォレストウルフに分配が上がるかと」


 成程、じゃあもうちょっと僕らが強くならないと五階層には行けそうにないね。

 あんな命懸けの戦い何回もしていたら命がいくらあっても足りないよ。


「目標はじゃあ四階層くらいにしておく?」


「そうだな。もしかしたら疑核が取れるかもしれねぇしよ」


「確かに!!あったらいいねぇ、疑核」


 今更だけど僕たちの持ってる疑核はどっちも人工疑核の三級、つまり疑核の中でも戦闘に使えるものの中でほぼ最低ラインと言えるんだよね。

 この上にダンジョンが真のダンジョンコア、つまり真核が一~八級、ダンジョンが作り出すダンジョンの真核を守る為に作ったと考えられてる真核そっくりの疑核、同じく一~八級さらにその下にあるのが更にそれを真似して人類が作った人工疑核、同じく一~八級みたいになってる。

 ちなみに人工疑核の八~六級は生活用品疑核とも呼ばれててコンロとか照明の部品に使われてるんだよ。ちなみに仕組みはイマイチわかんない。


「分かっていらっしゃるかも知れませんが真核の採取は御遠慮くださいね?当ギルドとしても処罰の対象となってしまいますので」


「わ、分かってますよ!採るのは魔石と疑核、鉱石だけ、ですよね?」


「その通りです 」


「因みにそのダンジョンって何処にあるんですか?」


「南西にありますこの街の門から出まして街道にそって歩くと30分程度でダンジョンの入口があります」


「ありがとうございました!じゃあ行ってきます!」


 やった!ダンジョンだ!これぞ冒険って感じ!あの何回も読んだ本とか村のおじさんが話してくれた冒険!やった、めっちゃワクワクする!!


「おい。...おい!何ぼーっとしてんだ!?昼飯だけ買ってさっさとダンジョン行こうぜ!」


「ご、ごめん。興奮しすぎてぼーっしてた。うん、お昼ご飯ね。だったら昨日依頼で行ったあのお店で買わない?折角だったら自分で仕込んだお肉が食べたい!」


「いいなぁ!じゃあ急ごうぜ!昼までにはダンジョンの中に入っていたいし!!」


「そうだね!!」

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真なるダンジョンマスターを目指して まよい猫 @Tyesyaneko

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