スレッドを立てた人間が、掲示板のレス番号(=アンカー)に従って行動を起こす「安価スレ」。普通だったら「今からコンビニ行くけど何か買ってくる?」ぐらいの軽い内容になるのだが、本作では突然ダンジョンマスターに任命された主人公が、自身のダンジョンの運営方針から、ダンジョン内のモンスターの種類、自分の装備や名前までをも安価で決めるという暴挙に出る!
ダンジョンを運営するためのポイントはダンジョンのファンを増やすほど多く入ってくるため、運よく安価で指定された美少女の天使を使って、彼女の服装を安価で決めさせたり、きわどい写真で釣ったりと、こすい努力を繰り返して注目を集める過程が面白く、そうした貯まったポイントをやりくりするダンジョン運営がとても楽しい。どんなダンジョンになるかはやっぱり安価次第なのだけど……。
また、実はダンジョンマスターに選ばれた主人公には人類の命運がかかったとんでもない責務が課されている。この前までただの一般人だった主人公がこの重圧に立ち向かう方法として選んだのはやはり安価……! 「世界を救うため」なんて壮大な理由ではなく、「安価スレを立てた人間の義務」として、自身の行動方針すら安価に委ねる姿は等身大でありながらかなりユニーク。そんな軽いようでちょっぴり重い彼と何も知らずに気楽に安価スレを楽しむスレッドの住人とのしょうもないやり取りが読んでて心地よい。
(「掲示板に集まる人たち」4選/文=柿崎憲)