眠り続ける女と、彼女を見守るライオンの、不器用で愛おしい一夜。

ルソーの名画に描かれたライオン。彼はいつも眠っているジプシー女を見守っていますが、少しだけ寂しさを感じています。

そんな彼の心の隙間を埋めるように、隣の『星月夜』から煌びやかな誘いが……。
少しの冒険を経て、ライオンが自分の居場所を再確認するラストシーンが秀逸です。

強面だけど心優しいライオンと、全て分かっていたジプシー女。
二人の通わせる言葉がとても優しく、読後感は幸福感に包まれます。

「大切な人のそばにいること」の尊さを教えてくれる、珠玉のショートストーリー。