水牢
なぜここにいるのか。
理由など忘れてしまった。
ただ、
はじめ、水が入れられた。
私は水に
しかし、予想に反して水は胸まで入れられたところで止まった。
ここに来て、もう何日が経つのだろう。
はじめは寒さに震えた。
そして、今……。
身体中の
私の身体は、どろどろに溶けて、水とひとつになるのだろう。
暗くて見えないが、水は真っ赤に染まっているに違いない。
はやく意識を手放したい。
しかし、時折、
「しぶといな」
獄卒は、そう言って眉をひそめる。
きっと、獄卒が
そして、長引けば長引くほど、私の苦痛は絶え間なく続く。
『死にたい……』
いつか叶うはずの望みにすがって、声にならない声を出す。
あれからどのくらい経ったのか。
意識が
けれど、どんなに責められても、私の意識は遠のいていく。
ああ、これで望みが叶うのだ。
私の意識はそこで途切れた。
短編集 汐なぎ(うしおなぎ) @ushionagi
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