第2話 魔法は配下に下っ端扱いされる
魔王城の最深部にある玉座で、魔王として俺は復活した。
そして眼の前に跪いている人物、魔王の記憶から彼女は第一副官として魔王城の管理を統括しているサキュバスの『シエル』だという事がわかる。
「……魔王様、復活おめでとうございます」
彼女の容姿をじっくりと見てみると、長い紺色の髪と横にキリッとした目元、ぷるぷるとした唇や色白い肌色と頭に伸びた角でサキュバスとして女性とも美しいよう姿をしている。
体のラインからは男性の目を惹くようなとても妖艶な衣装を身にまとっており、フィットしたビスチェは、彼女の豊かな胸元の峡谷を押し上げて強調していた。
腰から下は、長いロングスカートのスリットから太ももが見える。
白い肌が扇情的に覗かせ、ガーターベルトがストッキングを吊り上げているのが見えている。
首元には、隷属の証である重厚な魔銀のチョーカーが冷たく輝き配下の証であることを示していた。
とりあえず俺は魔王としての威厳を見せるため、彼女に称賛の言葉を出してみる。
「おお、シエルかよくぞ我が復活の儀式に立ち会ったな貴様の賛辞を受け取っておこう」
俺は、とりあえず魔王としての役目を果たすため側近である彼女に世界の状況について問いただしてみた。
「さてシエル、我が眠りについている間、この世界はどう変わった?人間どもの勢力や対抗勢力の状況や勇者の出現など現在の世界の情勢を詳しく伝えてくれ」
魔王は、一番の側近である彼女からの報告を待ち望んだ。しかし彼女は魔王の復活や賛辞を喜んでるような感じはなく、とても面倒くさそうな冷淡な表情で俺に言い放った。
「……世界の状況説明は、四天王が集った時改めて説明します、とりあえず魔王様はここで魔族召喚の力が回復する一週間ほど大人しく待っていてください」
「……え、なんだと?」
「何度も同じ説明するのが面倒です、四天王が集まった時に説明します、知りたいことがあったら図書室にでも行って調べてください、それでは」
シエルは俺にしばらくおとなしくしろと言い放ち、深いため息をつきながらそのまま玉座の間の入口にスタスタと向かい部屋から出ていってしまった。
静まり返った玉座の間で、魔王となった俺は座ったまま呆然としていた。
俺は側近である部下の態度を見て思った、なんだこれ魔王様というよりただの魔族召喚装置みたいな扱い方じゃないか…魔王の威厳も何もあったもんじゃないし、会社で言えば仕事しない上司に対してお前は大人しくしてろみたいな言い方だったよな。
「これじゃ魔王様というより、うちにいた仕事しない課長みたいな扱いじゃないか……」
誰もいなくなった玉座で呆然としていた俺は、図書室にでも向かってみようと思い立ち上がろうとした。
だが、復活したばかりの体は黒いオーラーの思念体みたいな形だけで、肉体の感覚がなく歩くことも厳しいような雰囲気だ。
「しょうがない、今日は大人しくここで過ごすか…」
その日は玉座に座って1日ずっと大人しくしていて過ごした。
仕事三昧で忙しい日常を過ごしていた自分にとっては何もしないでボーッとしているのはとても退屈だった。
──復活二日目
いつの間にか眠っていたのだろうか、魔王城周辺は常に真っ暗なので時間の感覚がわからないが恐らく一日過ぎたような雰囲気がある、昨日と比べると体が実体化してきたのか肉体の感覚が僅かにある。
どうやら立ち上がる事は出来るようだがまだまだ本調子じゃないようだ。
今日も大人しくしていよう…しかし退屈だ、魔王ってめちゃくちゃ暇なんだなと思った。
──復活三日目
今日の肉体コンディションを感じ取ってみる
肉体が実体化し始め様々な感覚を取り戻している感じがしている、何とか立って動くことが出来るようになった。この体は空腹感も感じない、食事も何もしなくても大丈夫なようだ。
しかし、三日経っても誰もこない…暇だ。
──復活四日目
体が動くようになったので、図書室に行ってみることにした。
魔王の記憶から城の地下にある事は解っている。
長い階段を降りて地下の図書室に到着して中に入ってみた中は物凄い量の書物が置いてあった
「これで下手すりゃ国立図書館のワンフロア位の広さと書物量があるんじゃないか…」
適当に本を開いてみたが過去の勇者との戦いの記録や魔王城の情報やらがあるがあまりにも量が膨大すぎてハッキリ言って調べられる情報じゃない。
自分がいた世界なら検索すればすぐ解るがアナログで全部調べるのは大変だ。
「魔物召喚出来るようなったらここの書物を媒介として検索エンジンみたいな部下作ろうかな…」
この日はそのまま玉座に戻ってそのまま眠った。
──復活五日目
シエルが配下を連れてやってきた、記憶から魔王軍の四天王だと言う事がわかった。
暗黒騎士っぽい剣士、格闘が得意そうな鬼みたいな奴、強力な魔法を使いそうな魔導師、空を飛べそうな魔人の四人だ。
彼らにこの世界の情勢を聞いてみたがシエルと同じ反応だった。
世界のことは俺等にまかせて、早く魔族召喚で部下を作り出してくれと言われた。
俺は思った、なんだか魔王居る意味なくね?魔王辞めてどこか行って暮らそうかな…。
そんな考えがよぎった日だった。
──復活六日目
体は実体を取り戻し、それに伴い魔法が使えるようになった。
飛翔魔法が使えるようになったので、魔王城から外に出れるか試してみた
空をしばらく飛んで上昇すると突如見えない壁にぶつかって先に進めないことが解る。
魔王の記憶にこの情報はなかった、魔王はこの魔王城に閉じ込められているのだ。
「なんだこれ…魔王城にいる魔王って実質軟禁状態じゃないか、外にも出れないのかよ」
魔王を辞めて逃げる計画は頓挫した、何か方法を考えようと思った。
そして復活七日目を迎えた。
新たな魔族が召喚できる能力が復活できる日だ。
とりあえず最初に召喚しようとした配下の事を考えて図書室に移動した。
転生最強魔王の引退物語 ~最愛の部下と田舎でのんびり暮らすんだ~ 茶巾まる @chakintarou
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