骨太でリアリティのあるダンジョンもの(オッサン付き)

※読み合い企画からのレビューです

攻撃手段を持たないからとパーティを追放された防御魔術師の主人公・クリフ
しかし、クリフに届いた一通の手紙から、彼は新たなパーティを自分で作り上げることに──という導入から始まる本作品は、非常に骨太でリアリティのあるダンジョンものの小説だ

カクヨムでよく見るようなファンタジー作品にはまず存在しないスカウトという職業であったり、荷物持ち専門のポーターという存在だったり、「言われてみれば確かに必要だよな」という職業の冒険者が多く出てくる
他の作品が悪いと言いたいのではなく、このリアリティが本作の長所なのだ
ドラクエとウィザードリィを比較するようなものだろう

登場人物のオッサン比率の多さも本作品の個性だ
たしかに華こそないのだが、だからこそ少ない華がより可愛らしく見える
雑なハーレムものよりもキャラクターを大切にしているように感じられるのだ

一般的な作品とは別の道を行くことで、逆に新鮮かつ往年の名作も彷彿とさせる「新しさと懐かしさを併せ持つ作品」が本作と言える
五十万文字となかなかのボリュームだが、読破する価値はあるだろう
是非一読してみてほしい

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