概要
欲に溺れて首を括るか?~賢者が返したのは、優しい人としての幸せだった
満月の美しい夜、村はずれの道で出会った、上機嫌な男と腰の曲がった老婆。老婆の正体は、山に数百年住まい、麓の村人に悪さを働いてきた孤独な魔女だった。魔女が男に差し出したのは、口にした者のあらゆる願望を叶える代わりに、数年で身を滅ぼさせる斑模様の「破滅の飴」。すべてを見抜いた上で、男はその飴をゆっくりと口に含む。「せめておのれの欲するものを思い描くんじゃな」と嘲笑う魔女。しかし、無駄を嫌い、人の世の浮き沈みを見つめてきた男が願ったのは、魔女の想像を絶する〝お返し〟だった――。老魔女と、賢者の資質を持つ博識な男。月夜の橋の手前で繰り広げられる、一夜の静かな化かし合いと、その先に待つ温かな奇跡を描いた珠玉の短編ファンタジー。
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