概要
世の中不思議なことは多いけれど、ここ数年世界各地で超常現象の報告が相次いでいた。甘い水が流れる滝、虹色の花が咲き誇る森などなど。言葉だけで表すと、幻想的で綺麗な光景たち。しかし、原因不明という事実が、人々の恐怖の感情を増していた。その恐怖の大部分を占めるのが、『異形』と呼ばれる怪物たちの存在で……
何をしても、何もしなくても過去は変えられなくて。
だから、僕が銃を向けた相手は、凶暴で残虐な人類の敵であって欲しかった。
ここに綴られているのは、知らないことに手を伸ばし続けた青年と不思議な女性が織りなす真実の物語。
※この作品は「小説家になろう」でも掲載されています。
※毎週火曜日更新予定
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!明日はもう少しだけ、世界が優しくありますように
この物語は、異形のいる世界での出来事である。主人公の陸奥は異形と出会い、アサヒと出会い、考え、進み、そして最後には彼なりの答えを導き出す。
最初から最後まで、積み重ねられていくのは優しさだ。
そして優しさの上に、残酷な問いかけがのっているようでもある。
一年中花の咲くひまわり畑の、真実とは。
人間とは、知ることで初めて一歩を踏み出せるのかもしれない。知ることで相手に歩み寄ることができるのかもしれない。
目を閉じたままではいられない、耳を塞いだままではいられない。
そして、何も考えないままではいられない。
陸奥はどこまでも真っ直ぐでした。
そしてきっと、誰もが持つはずのその真っ直ぐさや優し…続きを読む - ★★★ Excellent!!!美しくて残酷で、それでも優しい世界のお話
異形と人間の住む世界。一年中咲き続けるひまわり畑の調査に来た研究所研究員の陸奥は不思議な女性アサヒと出会い、人を傷つける存在、異形の真実を知る……
様々な異形との出会いの末、陸奥が行く道、アサヒの抱える思いが物語の最後をどんなものにするのか……ぜひ、あなたの目で確かめてください。
作者様のあたたかみのある言葉遣い、ついつい吹き出してしまうコミカルな登場キャラクター達もこの作品の魅力です!!
あなたも様々な景色、様々な出会いと別れに心動かされること間違いなし!この世界に飛び込んでみては?
アサヒさんの極寒ブリザード、正直で純粋な陸奥のモノローグ、おすすめですよ!!
え?何言ってるの?と興味…続きを読む - ★★★ Excellent!!!泣きたくなるほどの優しさと真実を知って。これはむかしむかしのお話です。
世界各地で起こっている超常現象。その一つである「一年中咲き誇るひまわり畑」の調査にやってきた青年、陸奥。
言葉だけならただ美しく幻想的な風景ですが、それらの原因ではないかと噂されているのは、この世界に存在する「異形」でした。
千年以上前に人を襲い世界を蹂躙したその恐ろしき存在は、人々が必死で戦ったことにより数を減らし、その大半は駆逐されたはずです。
しかし、弱点である鉛で作られた柵の向こう側で、未だ彼らは生き続けています。ひまわり畑が存在するのも、その壁の近くでした。
ある日、ひまわり畑の調査をしていた陸奥は、柵の向こうにいるはずの異形と出会ってしまいます。
近づいてきた異形に武器を構え…続きを読む - ★★★ Excellent!!!必読小説!読了後に心が温かくなる素晴らしい作品です
全52話完結、文字数にして約14万文字、やや分厚い文庫本1冊程度でしょうか。
本作は、残酷さの中に優しさが満ちた、本当に素敵な小説です。
異形という存在と、人との関わりを描きつつ、なぜ人は異形を恐れるのか、そして殺すのか。負の部分を突き付けてくるのですが、ダークな部分がないのですね。
善悪は、どちらか一方通行で見るべきではなく、双方向で見るべきものです。
そして、結果的に、異形はなぜ生まれ、人と敵対するのか?
物語は、研究員の陸奥という青年と、不思議な少女アサヒを中心に描かれていきます。当初の冷めきったアサヒの態度が実に素晴らしく、おろおろする陸奥が何とも可哀相に思えるほどです。
そ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この物語を読んだ後、貴方はきっと優しく隣人に手を差し伸べる
最初はただただ柔らかく、優しくあたたかい物語が続き、
心がぽかぽかと照らされます。
この物語は優しくゆっくり少しずつ読者との距離を詰めていき、引き込んでいきます。
しかし、それは作者様が伝えたいことへの動線。
「伝えたい事」それはぜひ最後まで読んで頂き、感じて頂きたいです。
その時、散りばめられていた伏線はただの伏線ではなく、私たちが普段見落としているものや事。繰り返される日常や、慌ただしさで目をそらしていた事だと分かります。
誰だって最初は陸奥さんと同じ。分からないものや「異形」を怖がり拒絶するでしょう。
しかしこの物語を読んだあと、きっとそれらを見る目が変わるのではないでしょうか?…続きを読む