王道ファンタジーの世界観でありながら、「戦わない英雄」を主人公に据えた着眼点がとても魅力的でした。
棺を運び、倒れた者を教会へ届けるという役割は重く、静かで、それでいて確かに誰かを救っている仕事だと伝わってきます。
準備回でありながら、鍛冶屋や道具屋、教会とのやり取りを通して主人公アーロンの人柄と信頼関係が丁寧に描かれており、世界にしっかり根を張った物語だと感じました。
異次元の蔵という能力も仕事と密接に結びついていて、説得力があります。
最後の緊急依頼への流れも自然で、これから始まる物語への期待が高まりました。
派手さよりも誠実さが光る、良質な導入回だと思います。
「戦士でも勇者でもない男」が主人公、という立ち上がりからもう惹きつけられました。
彼がやっているのは魔王討伐でもお宝探しでもなく、「ダンジョンで倒れた者たちを、棺に納めて教会まで送り届ける」という地味で、けれどとても尊い仕事。
準備の場面での鍛冶屋や道具屋、教会とのやりとりから、人間関係のあたたかさと、日常の積み重ねの上に成り立つ“仕事”の重さがじんわり伝わってきました。
棺を連ねて引き返していく姿や、「棺は汚さない」というこだわりには、職業としての矜持と、亡くなった者たちへの敬意が滲んでいました。
表舞台には立たない“救出屋”
それは「戦士でも勇者でもない "英雄"」
戦士でも勇者でもない私たちも目指すべきなのでしょう、誰かの英雄になることを
世の中誰しも知っている某RPGゲームがありますよね。
「おお、XXよ、しんでしまうとはなさけない。そなたにもう一度~」というくだりで始まる神父様のおいのりで復活。
魔物にやられてどうしてゴールドを払うだけで蘇生されるんだろうか。というRPGの素朴な疑問に着目してくれたかのような当作品!!
棺を背負ってダンジョンに行くアーロン。黙して語らず、男の背中格好いい。
そして女神「ライフ」の世界感。誰でも平等に蘇生されるわけではないという設定に激しく同意。
短編でさくっと読める中の重工な設定。こういう地味な仕事を請け負ってくれる方がいるから、みんなダンジョンライフを楽しめるんだなあとアーロンに感謝。
長編で読みたくなる作品でした。非常にお勧めです。
この世界には独自のルールがある。不慮の死を遂げた者は、教会で蘇生できる——ただし、遺体が無事に教会へ運ばれれば、の話だ。
主人公アーロンは戦士でも冒険者でもない。彼の仕事は「救出屋」。ダンジョンで命を落とした者たちを棺に納め、魔物と戦いながら教会まで運ぶ——それが彼の使命だ。
転移魔法と空間魔法、そして棺型の盾「クロスライフ」を駆使した戦闘描写が秀逸。華々しい冒険譚ではなく、黙々と死者を運ぶ職人気質な主人公像が新鮮です。
特に印象的なのは、蘇生できない者もいるという世界観。悪人は女神に見放される——因果応報が明確に描かれるシビアさが物語に深みを与えています。
「棺の英雄」という二つ名に恥じぬ、静かな覚悟と優しさ。短編ながら、独自の世界観と主人公の矜持がしっかり伝わる一作です!