棺を背負い、魂を運ぶ——異色のダンジョン救出譚
- ★★★ Excellent!!!
この世界には独自のルールがある。不慮の死を遂げた者は、教会で蘇生できる——ただし、遺体が無事に教会へ運ばれれば、の話だ。
主人公アーロンは戦士でも冒険者でもない。彼の仕事は「救出屋」。ダンジョンで命を落とした者たちを棺に納め、魔物と戦いながら教会まで運ぶ——それが彼の使命だ。
転移魔法と空間魔法、そして棺型の盾「クロスライフ」を駆使した戦闘描写が秀逸。華々しい冒険譚ではなく、黙々と死者を運ぶ職人気質な主人公像が新鮮です。
特に印象的なのは、蘇生できない者もいるという世界観。悪人は女神に見放される——因果応報が明確に描かれるシビアさが物語に深みを与えています。
「棺の英雄」という二つ名に恥じぬ、静かな覚悟と優しさ。短編ながら、独自の世界観と主人公の矜持がしっかり伝わる一作です!