概要
蔓草病に罹ったのは、姉のモイラが最初だった
リーガン星系の恒星オドを巡る辺境惑星エメニア。その砂風と岩石で構成された星の片田舎で、寄星虫に冒された姉モイラは寿がれた。
私は苛立ちながらも看病を続ける。そして、十年後――
私は苛立ちながらも看病を続ける。そして、十年後――
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!美しい姉の肌に萌え出づる蔓草によって見えなくなったものは何
姉が「蔓草病」という病に罹患してしまった少女アニマ。姉の肌には緑の曼荼羅じみた文様が浮かび上がり、病が進行するにつれ蔓草のようにはびこって、徐々に身体を衰弱させるという。
だが一方で、蔓草病が発症した地では、恵みの雨が降り、作物は豊かに実り潤い、人々の間には笑顔が満ちるという。
自らの意思とは関係なく、奇病に罹患してしまった姉妹の選択は――。
蔓草はなにものかに寄生し、そして、その表面を覆い隠します。覆い隠された部分は見えなくなり、なかったことにされてしまうのです。
何かと引き換えに何かを得る。搾取されるものと享受するもの。とても業の深いテーマなのでしょう。
しかし、このお話は、読んだ方…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その《緑》は死に到る病
死に到る病に罹患したものを崇め、恩恵を受ける惑星の民と、不幸にもその病に侵された姉妹。肌に緑の紋様が浮かびあがる様は想像するだけでも美しく、されどもおそろしくもあります。
幻想と現実のあわい。その表現がほんとうに巧みで、息を呑みました。
〝寄生〟ではなく〝共生〟よ
読み終えた後、この言葉が頭のなかに繰りかえし響いております。
それは、病だけではなく人との繋がり、強いていうならば人と人のあいだに横たわるどろどろとした感情もそうなのではないかと、考える次第です。軽蔑、嫉妬、憎悪、優越。そうしたこころに寄生する感情とも、我々は、清濁を併せ呑むように、共生していかねばならないのでしょう。