概要
耳障りな満開の桜と、静かに光る青い音──
桜の花が満開に咲き誇るある夜、騒がしい河川敷の花見会場から逃れた「僕」は、下宿への帰り道、神社でヴィオラを弾く青年に出会う。人知を越えた何者かに狙われる青年を僕はかくまおうとするが……
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- ★★ Very Good!!ヴィオラの青い雫、混沌という紅い流れ……黄衣から伸ばされる邪神の誘い
闇を色チョークで描きだすのはきわめて難しい
しかし作者は混沌を色彩で表すことを決意したらしい、それも共感覚のだ!
黒くぬれぬれとした桜樹
光さえも墜ちてゆく
輝く鉤爪に鷲掴みされたように……
真鍮の腕は聾唖のヴィオラ奏きをつかむと
とんでもないものから突き抜いてのける
二匹の白い蛇のように絡み合う少女たちと
地面から花びらを舐めとる女の赤い舌は何やらとても扇情的(エロティック)
そして、コバルトブルー……
作者の宇宙の音は夢幻という色に染まっているのかもしれない
えーりっひの音楽のような、それをつかの間に心にうつせたのがとても良かった