6ー7

前を歩くご主人様。

その横には真剣な面持ちでご主人様を見つめるバンシー。

2人はとても楽しげにルニアには映った。


モルガナから依頼と称して現れたのは、ご主人様の知己。幼なじみであるバンシー。

緑色のウェーブがかった髪はとても美しく、紅く耀く瞳もまた宝石のように綺麗だ。髪と同じ色のローブをまとっているが、その下には透き通るような素肌がある。

妖精という種族は着るものに無頓着なのか、目の前のバンシーといい、ご主人様の師匠であるモルガナといい……上に何かを羽織るくらいで下は全裸というのが常だった。

ご主人様は良くも悪くも、女の色香などにうつつを抜かすようなお人ではない。

そこが安心でもあるが物足りなさを感じるのも多い。

「って、私ってばナニを考えているのよっ」

頭に浮かんだ妄想をかき消すようにブンブンとかぶりを振った。


ルニアはぶつぶつと呟きながら、右の角を曲がる。

しかしそこは行き止まりである。

「え!? ご主人様? バンシー!?」


さっきまで前を歩いていた2人が忽然と姿を消したからだ。

驚いて引き返そうとしたルニアの道を塞ぐように、ひとりの修道女が立っている。

「先ずは、ヒトリ」

「あの、道を譲っていただけますか?」

ルニアは既にわかっている。目の前の修道女が道を譲らないこと。そして標的が自分であること。そして私たちが探し求めていた人物が目の前の修道女であること。

ならば何故問うたのか。ただの時間稼ぎに他ならない。

予期せぬことが起こった時にとバンシーから渡されたお守り。修道女に気付かれないよう破り捨てる。

一瞬、蛇のような姿へと変わったかと思うと、それは霧散した。呪いは掛けた本人、バンシーの元へと還っていく。

「助けを呼んだか。だが間に合うかな。クフッ」

奇妙な笑みをこぼして近づいてくる。

「あなたはエリザベスの手の者ですか?」

「エリザベス……? そんなものは知らない。私は私がしたいことをするだけ。目の前の馳走を平らげるのみ。私はベルゼビュート。カファル・ベルゼビュート」

にじり寄ってくるカファルと名乗った修道女。ルニアは後ずさるも背後の壁が迫る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

銀髪のルニア 発条璃々 @naKo_Kanagi885

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ