誰かの選択を受け入れた時、彼女は龍の背をみた。

 彼女、田端カオルは決して怠惰な女では無かった。
命の限りを最大に尽くす蝉のように懸命に生きていた。
誰かと比較する事は無意味だと知っていたし、誇り高く生きている。
彼女は失い続ける理由を問い、その理由を受け入れる。
社会の流れから外れてしまっても、社会は彼女を生かし続けた。
何故?
彼女は、龍の背に乗るべき女だったからだ。

 彼女は失い続ける理由を問い、その理由受け入れた時、最高のエピローグを迎える。
この物語は、カオルのアルコール漬けの脳で開かれる豊かな情感で確かに語られ、
閉じた暗闇に差し込む一筋の光。本当にわずかな光ですが、何よりも眩く力強く感じる事が出来ます。

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