概要
結晶に彩られた、人と機械仕掛けの悪魔の物語
逢魔ヶ刻。魔と出逢うとされる、不吉な時間帯。
大正一〇〇年(西暦二〇一一年)十二月。日の頭高校二年生、疋田矗克は冬の突き刺す寒さにコートとマフラーで身を潜めて、自宅へと向かっていた。
課題に手間取り、すっかり遅くなってしまった。冬の日照時間は短い。既に気の早い外燈が俯瞰する光を灯し始めている。
周囲に人の姿はない。ただ、矗克だけが逢魔ヶ刻を描いた絵画に孤立している。
いや――。
クン……。在るか無しか、空気を幽かに揺らす機械的な音が鼓膜に届く。まるで、歯車が慎ましやかに噛んでいるかの如く、背後から。
「馬鹿な話、だろ?」
知らず、喉から出たのは反駁の言葉だが、矗克の本能的な部分は既に察していた。自分を夕日から隠す異形の影法師。
――在る/うしろ/振り返る?/いや、そんなわけ/
大正一〇〇年(西暦二〇一一年)十二月。日の頭高校二年生、疋田矗克は冬の突き刺す寒さにコートとマフラーで身を潜めて、自宅へと向かっていた。
課題に手間取り、すっかり遅くなってしまった。冬の日照時間は短い。既に気の早い外燈が俯瞰する光を灯し始めている。
周囲に人の姿はない。ただ、矗克だけが逢魔ヶ刻を描いた絵画に孤立している。
いや――。
クン……。在るか無しか、空気を幽かに揺らす機械的な音が鼓膜に届く。まるで、歯車が慎ましやかに噛んでいるかの如く、背後から。
「馬鹿な話、だろ?」
知らず、喉から出たのは反駁の言葉だが、矗克の本能的な部分は既に察していた。自分を夕日から隠す異形の影法師。
――在る/うしろ/振り返る?/いや、そんなわけ/
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ハイレベルに作りこまれたSFアクション。まず第3話まで読め!
異形の存在に「身体」を寄生――融合され、常人をはるかに超える力をもった少年と、その「異形の者」たちの運命を描く、SFアクション長編。
驚くほど確かな筆致と、戦闘シーンの描写力は、目を見張るものがあります。そして、切なさの漂う、運命的なストーリー。SFの肝である世界観、設定もすばらしい。
文体がハードのため、一見、とっつきにくいと感じる方も多いかもしれませんが(最初は戦闘シーンから始まるため)、3話の「来訪者」までは、とりあえず読んでいただきたい。そこまで読んだら、ハマる人は、ドハマりすると思います。最後まで期待を裏切りません。
すばらしく高度に作りこまれた世界での物語に、身をゆだねる快…続きを読む