概要
火球は撃てない。だが、それ以外は賢者のままだ。
「攻撃魔法も使えないくせに、魔法使いを名乗るなよ」
冒険者になったばかりの頃、俺は何度もそう言われた。
火球も氷の槍も雷撃も使えず、仲間を募集すれば断られる。ようやく入れた一行でも、任されるのは荷物持ちと雑用ばかりだった。
それでも魔法が好きで、付与、弱体、幻術、結界、召喚、錬金術――使えるものは片っ端から学び、時空や重力にまで手を伸ばした。いつしか賢者と呼ばれるようになったが、その頃には、一緒に冒険したかった仲間も、恩を返したかった人も、ずいぶん遠くへ行ってしまっていた。
長い隠居暮らしを終え、静かに息を引き取ったはずの俺は、懐かしい安宿で目を覚ます。
鏡に映っていたのは、冒険者になりたての自分だった。
若い身体に戻っても、生涯をかけて極めた魔法は覚えている。相変わらず火球ひと
冒険者になったばかりの頃、俺は何度もそう言われた。
火球も氷の槍も雷撃も使えず、仲間を募集すれば断られる。ようやく入れた一行でも、任されるのは荷物持ちと雑用ばかりだった。
それでも魔法が好きで、付与、弱体、幻術、結界、召喚、錬金術――使えるものは片っ端から学び、時空や重力にまで手を伸ばした。いつしか賢者と呼ばれるようになったが、その頃には、一緒に冒険したかった仲間も、恩を返したかった人も、ずいぶん遠くへ行ってしまっていた。
長い隠居暮らしを終え、静かに息を引き取ったはずの俺は、懐かしい安宿で目を覚ます。
鏡に映っていたのは、冒険者になりたての自分だった。
若い身体に戻っても、生涯をかけて極めた魔法は覚えている。相変わらず火球ひと
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