概要
一皿で、忘れた記憶が戻る。代償は、今いちばん大切な記憶。
吉祥寺の路地裏に、午前0時だけ開く食堂がある。
メニューに料理の名前はない。あるのは日付だけだ。
「あなたが初めて嘘をついた日」「弟が最後に笑った日」――
その店では、一皿の料理が、失くしたはずの記憶をひとつ取り戻してくれる。ただし、代金はお金ではない。取り戻した記憶と釣り合う重さの、あなたの大切な記憶ひとつが、静かに取り上げられ、ラベルの貼られたガラス瓶に保管されていく。
書籍の校正を仕事にする藤堂凪(29)は、三年前に事故で死んだ弟・蓮の名前と声を、思い出せなくなっていた。弟を取り戻すため、彼女は深夜の食堂の扉を開ける。メニューにあったのは、「弟が最後に笑った日」。
だが、取り戻した記憶の代金は、恋人・水野晴太の名前と、二人が初めて出会った日の記憶だった。さらに凪は知る。弟・蓮自身も生前
メニューに料理の名前はない。あるのは日付だけだ。
「あなたが初めて嘘をついた日」「弟が最後に笑った日」――
その店では、一皿の料理が、失くしたはずの記憶をひとつ取り戻してくれる。ただし、代金はお金ではない。取り戻した記憶と釣り合う重さの、あなたの大切な記憶ひとつが、静かに取り上げられ、ラベルの貼られたガラス瓶に保管されていく。
書籍の校正を仕事にする藤堂凪(29)は、三年前に事故で死んだ弟・蓮の名前と声を、思い出せなくなっていた。弟を取り戻すため、彼女は深夜の食堂の扉を開ける。メニューにあったのは、「弟が最後に笑った日」。
だが、取り戻した記憶の代金は、恋人・水野晴太の名前と、二人が初めて出会った日の記憶だった。さらに凪は知る。弟・蓮自身も生前
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