概要
勇者が着いたら、もう全部終わってる
「村人など、荷物持ちにもいらん」
勇者選定の儀の朝、侯爵家の嫡男は、俺の顔も見ずにそう言った。
前の人生で、俺はこのゲームの最短クリアの世界記録保持者だった。
今の俺は、始まりの村の門の前に立つ〈村人A〉だ。
「助かります。荷物、重いんで」
その夜。ゲームなら第三章まで入れない洞窟の岩壁の前で、しゃがんで、立つ。しゃがんで、立つ。
「人間は、岩に入らない!」
入れるんだよなあ、これが。
翌朝、勇者の出発式の壇上には、洞窟の主の角が一本、転がっていた。
次の港町は、勇者が着く三日前に救った。
梯子をしまって空を歩き、悪党の名乗り口上で悪党を縛り、魔物の湧き口に座って昼寝する。
この世界の法則の穴なら、全部知っている。
ゲームでは序盤で死ぬはずの女騎士を、今度は飛ばさずに助けに行く。
――ただ、
勇者選定の儀の朝、侯爵家の嫡男は、俺の顔も見ずにそう言った。
前の人生で、俺はこのゲームの最短クリアの世界記録保持者だった。
今の俺は、始まりの村の門の前に立つ〈村人A〉だ。
「助かります。荷物、重いんで」
その夜。ゲームなら第三章まで入れない洞窟の岩壁の前で、しゃがんで、立つ。しゃがんで、立つ。
「人間は、岩に入らない!」
入れるんだよなあ、これが。
翌朝、勇者の出発式の壇上には、洞窟の主の角が一本、転がっていた。
次の港町は、勇者が着く三日前に救った。
梯子をしまって空を歩き、悪党の名乗り口上で悪党を縛り、魔物の湧き口に座って昼寝する。
この世界の法則の穴なら、全部知っている。
ゲームでは序盤で死ぬはずの女騎士を、今度は飛ばさずに助けに行く。
――ただ、
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?