概要
三十歳の夏、六人とも「存在しない高校」の記憶を持っていた。
三十歳の夏。保育園の取り壊しをきっかけに、六人は駅前の居酒屋で再会した。
思い出話で盛り上がるうちに、全員がおかしなことに気づく。
みんな地元の高校に通った記憶がある。それと同時に、「松山の私立御幸高校で、古い旅館に下宿して六人で過ごした三年間」も、はっきり覚えているのだ。
そんな高校は、どこにも存在しない。
それなのに、押し入れの奥から深緑色の卒業アルバムが出てきた。
十八歳の六人は、確かにそこに写っている。
けれど、「七人で同じ高校に行こう」と祈ったはずの、もうひとりの姿だけがなかった。
広島の山あいにある、過疎の村。
最後の園児はたった七人で、ぼくたちは毎日、裏山の神社の杉の木の下で遊んでいた。
五歳の夏、そのうちのひとり、にいなが事故で死んだ。喧嘩をしたまま、誰も「ごめんね」を言
思い出話で盛り上がるうちに、全員がおかしなことに気づく。
みんな地元の高校に通った記憶がある。それと同時に、「松山の私立御幸高校で、古い旅館に下宿して六人で過ごした三年間」も、はっきり覚えているのだ。
そんな高校は、どこにも存在しない。
それなのに、押し入れの奥から深緑色の卒業アルバムが出てきた。
十八歳の六人は、確かにそこに写っている。
けれど、「七人で同じ高校に行こう」と祈ったはずの、もうひとりの姿だけがなかった。
広島の山あいにある、過疎の村。
最後の園児はたった七人で、ぼくたちは毎日、裏山の神社の杉の木の下で遊んでいた。
五歳の夏、そのうちのひとり、にいなが事故で死んだ。喧嘩をしたまま、誰も「ごめんね」を言