概要
この島には何人もの王たちがいた。誰一人、島を統べてはいなかった。
「蝦夷ヶ島を治めているのは誰だ?」
そう問われても、答えられる者はいない。
海辺に和人の武士たちが館を構え、その向こうにはアイヌの首長たちがそれぞれの勢力を張っている。津軽からは商船が渡り、さらに遠い北の海からも珍しい品々が運ばれてくる。
敵の首長を討ち取っても、土地が手に入るとは限らない。武力で敵わぬ相手には頭を下げ、油断したところを討つ。昨日まで殺し合っていた者同士が、同じ宴席で酒を酌み交わすこともある。
十五世紀、津軽海峡。
北の交易で栄えた十三湊が衰亡し、海峡を越えた武士たちが蝦夷ヶ島の争いに加わっていく。その中に、後に松前藩の祖となる武田信広もいた。
しかし、この島では、誰もが自分の思いどおりに事を運べるわけではない。
信広も、その子孫たちも、幾度となく窮地に追い込まれ、時
そう問われても、答えられる者はいない。
海辺に和人の武士たちが館を構え、その向こうにはアイヌの首長たちがそれぞれの勢力を張っている。津軽からは商船が渡り、さらに遠い北の海からも珍しい品々が運ばれてくる。
敵の首長を討ち取っても、土地が手に入るとは限らない。武力で敵わぬ相手には頭を下げ、油断したところを討つ。昨日まで殺し合っていた者同士が、同じ宴席で酒を酌み交わすこともある。
十五世紀、津軽海峡。
北の交易で栄えた十三湊が衰亡し、海峡を越えた武士たちが蝦夷ヶ島の争いに加わっていく。その中に、後に松前藩の祖となる武田信広もいた。
しかし、この島では、誰もが自分の思いどおりに事を運べるわけではない。
信広も、その子孫たちも、幾度となく窮地に追い込まれ、時
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